東京大学 大学院理学系研究科 化学専攻・理学部化学科

学生からのメッセージ

落合 陽紀
落合 陽紀(アト秒レーザー科学研究センター)
化学専攻 修士課程 1年

進学選択の時、私は物質科学の中でも原子や分子の視点で現象を理解する化学という学問を学びたいと思って化学科に進学しました。化学科の授業や学生実験で学ぶ過程で分子の構造や性質について興味をもち、今所属している研究室に配属を決めました。卒業研究では、超短パルスレーザーを用いた高精度な分子分光法のための装置開発の研究に取り組み、大学院では、開発した装置を実際に使って希ガスイオンのスピン軌道相互作用のエネルギーを世界で最も高い精度で決定することを目指して研究を進めています。

知っている方も多いかもしれませんが、化学科の講義は全て英語で行われます。理系科目の講義を英語で受けたことない方は不安に感じる人もいるかもしれません。私は英語が得意ではありませんでした。特に英語の聞き取りについて内心は不安でしたが、自分が受けた多くの講義ではスライドや板書、配布資料による図も用いた丁寧な説明があり、聞き取ることが難しかった部分もこうした視覚的な情報で補うことができたため、講義内容をスムーズに理解することができました。

化学科では3年次の午後に週4日間学生実験があり、1年間かけて無機化学、分析化学、有機化学、物理化学の実験を行います。私は実験操作が得意ではありませんでしたが、大学院生のティーチングアシスタントのサポートもあり、カラムクロマトグラフィーや油浴を用いた蒸留など、自分では苦手に感じた実験操作もこなすことができました。また、私の場合は、実験をする中で自分の興味のある分野や得意不得意なことを発見でき、4年次で配属する研究室を選ぶ助けになりました。

化学科には、有機化学・無機化学・物理化学分野にとどまらず、地球惑星化学や情報科学、さらに私が所属する研究室のようにレーザー光学と分光学を組み合わせた、様々なテーマを扱う研究室があります。配属する研究室を決める際には、インターンシップや研究室見学で研究環境や研究室の雰囲気を事前に調べることができます。現時点で具体的に何を研究したいかを絞れていなかったとしても、化学を中心に幅広い講義や学生実験で学ぶうちに、興味のある研究分野に出会えます。

もし皆さんが少しでも化学に興味があるのであれば、化学科への進学を検討してみてはどうでしょうか。
(2024.5掲載)


平嶋 瞭一
平嶋 瞭一(生物有機化学研究室)
化学専攻 修士課程 1年

私は元々学問として化学を学ぶことが好きで、特に有機化学に魅力を感じていました。そんな中で、学部の授業を受けたり様々な研究室のHPを訪れたりしているうちに、複雑な反応場である生体内で狙い通りの反応を進行させるという概念に興味を惹かれ、有機化学の技術を生物分野に応用するというコンセプトを掲げる今の研究室に行き着きました。現在は自分のやりたかったことに出会えたという実感のもと、ハイレベルな研究環境で日々実験を行っています。

理学部化学科の一番の特徴は、なんといっても非常に広い範囲のテーマを扱っていることだと思います。化学科の研究や学部の授業は、主に有機化学、無機化学、物理化学のいずれかに連なるものですが、その中には基礎的なものから応用的なもの、根幹の原理を追求するものから学際的な研究によって新たな分野を開拓しようとするものなど、多様な階層のテーマが登場します。そのため化学科は、基礎となる知識を満遍なく学びつつ、最先端の革新的な研究にも学部から十分に触れることのできる、まさに「広く深く」を体現したような場所だと言えます。

また、化学科のもう一つの大きな特徴は、基本的に全ての授業が英語で開講されるということです。英語授業に不安を感じられる方もいるかもしれませんが、先生方のサポートが手厚いため、授業内容の理解に対して英語が障害となることはほぼないと思います。むしろ、授業という内容がある程度予想できる場で英語を経験したことは、早くからサイエンティフィックな英語に慣れる上で非常に良い練習になったと感じています。

化学科で様々な講義や実験を経験し、知識の範囲を広げていくことで、今まで知らなかったことが実は自分の好みに合致したり、あるいは自分が好きな分野に新たな応用の可能性があることを知るといった発見があるはずです。すでに化学の特定の分野に興味がある方はもちろん、まだやりたいことがはっきりと固まっていない方も、ぜひ化学科への進学を考えてみてください。化学は非常に多くの方向性を内包する学問ですし、その中からあなたが面白いと感じるものにたどり着くのを、理学部化学科はきっと大いに助けてくれます。
(2024.5掲載)


今井 渉世
今井 渉世(生体分子化学研究室)
化学専攻 修士課程 2年

中学生の時に実験することの楽しさを覚えて化学に惹かれ、その時の興味そのままに理学部化学科へとやってきました。化学の一番の魅力は、やはり手を動かして実験できることではないでしょうか。自ら目の前の試料に向き合い、生み出された結果に驚き考えさらに追求していく。誰でもない自分の手で新しい化学を創り出していくというこの感覚は、他では決してできないことだと感じています。

そしてもう一つの魅力は、物質というこの世界の基盤を扱えることだと思います。それゆえにあらゆる現象が対象となり、かつ実生活に直接つながる研究ができます。化学は決してフラスコの中だけの世界ではなく、生命現象も地球現象もすべて化学で扱うことができるのです。化学という観点から世界を見まわすと、目の前の景色は違ったように見えてくるはずです。

自分にとって理学部化学科は、どちらの点でも良い学科だったと思います。学部二~三年の講義では、有機・無機・物理化学を中心としつつ、生命化学や地球化学についても扱います。分野の偏りなく化学の視点から幅広く学ぶことで、化学的に考えるための引き出しとなる広くて深い知識を身に着けることができます。それと同時に学生実験を通して、様々な実験手法や解析手法について学びます。学部三年の午後はほぼすべてが学生実験にあてられ、ひたすらに手を動かし続けます。どちらも内容は盛りだくさんで課題も多く、決して楽な一年間とは言えないかもしれませんが、化学が好きな人にとってはとても刺激的で楽しい期間になるはずです。

その後学部四年になると研究室に配属されて卒業研究に取り組むことになります。どの研究室を選んでも、充実した設備があり、優秀なスタッフ陣や先輩、同期とともに研究に集中することができるでしょう。私自身も恵まれた環境のもとで、まさに化学漬けといえる毎日を過ごすことができました。

化学系で悩んでいる方はもちろん、何を学びたいのかまだはっきりしていない方も、是非化学科を考えてみてはいかがでしょうか。化学はあらゆる現象が対象になる広い学問です。きっとあなたに刺さる研究が見つかることと思います。
(2023.5掲載)


楊 熙辰
楊 熙辰(生物有機化学研究室)
化学専攻 修士課程 2年

私が現在の研究室に所属したのは,化学の分野から創薬業界に貢献したいと思ったからです.小さい頃から化学はとても好きだったのですが,前期教養過程の授業を受けていくうちに生命のメカニズムにも興味を持ったことがきっかけでした.

理学部化学科の魅力の一つは,そのカリキュラムだと思います.まず2年後期に化学の基礎的な知識を学習します.授業数がそこまで多くないため,自身で知識を吸収する時間が存分に取れます.3年生では授業と並行して基礎実験があり,様々な化学実験を一通り経験します.そこで自身の得意不得意と向き合うことができます.4年生ではほとんど授業がなく,集中して卒業研究に取り組むことができます.このようなカリキュラムを通して,地盤がしっかり固まった上で化学に向き合うことができます.

そして,環境の良さも魅力の一つだと思います.私は3年生の夏休みに現在の研究室でインターンをしたいと思い立ち,教授に連絡したのですが,快く受け入れてくださいました.また,GSC (Global Science Course)に採択されると,4年生で1ヶ月間留学を経験することができます.このように,自身で積極的に行動すれば周りがそれに応えてくれ,貴重な経験ができる環境があります.

まだ自身の将来像が見えていない方にとって,進学振分けは大きな決断になると思います.少しでも化学に興味を持っている方は,ぜひ理学部化学科を検討してみてください.きっとやりたいことが見つかりますし,それを実現する環境がここにはあると思います.
(2023.5掲載)


菅野 朝日
菅野 朝日(天然物化学研究室)
化学専攻 博士課程 1年

化学や生物の力でモノづくりをしたいと思っていた学部2年次の私は、当初は工学部へ進学しようかとも考えていました。しかし、ある教授からの助言が私の人生の方向性を変えるきっかけとなりました。その教授からいただいた言葉は、「セントラル・オブ・サイエンスにファーストキャリアを投じることが君の研究者人生に利する」というものでした。

その言葉に従い、理学部化学科(理化)への進学を決意し、今ではその選択が正しかったことを実感しています。最初は何もわからない状態から始まりましたが、興味と出会い、興味を追求し、知識と考え方を磨き上げ、課題解決に取り組む力を少しずつ身につけてきました。

理化は学びや研究に必要な全ての要素が整っており、そのエコシステムの一部として、1,900回以上も開催された雑誌会セミナーが挙げられます。このセミナーでは、世界各地から招かれた講師と理化教授たちがディスカッションを行います。その様子を生で目にすることで、考え方や伝え方を学ぶ機会が豊富にあります。

私が所属する天然物化学(大栗)研究室では、天然由来の複雑な有機化合物から着想を得て、社会に有用な分子を合成するための実験を日々行っています。自然の神秘に圧倒されながらも、人工的なアプローチによって新たな分子を創り出すことは、青春の数年間を捧げる価値のある挑戦だと感じています。そして、この挑戦の先には創薬のみならず、機能材料やエネルギー、環境に関する課題にも取り組むことができると信じています。

理化での学びは、手を動かして仲間と共に考えることでより深まります。一緒に手を動かし、考えを交わし合える仲間が増えることを楽しみにしています。
(2024.5掲載)


小谷 祐希
小谷 祐希(物理有機化学研究室)
化学専攻 博士課程 1年

化学の大きな特徴のひとつに,「自分の作りたいモノを作れる」ことがあると私は考えます.こういった「モノづくり」の側面に惹かれ,私は化学,特に有機化学の道を選びました.

東大には,化学を学ぶことのできる多くの学部が存在しています.それではどのように学科を選べば良いのでしょうか?私が理学部化学科を選んだ以下の理由が,皆さんの学科選びの参考になれば幸いです.
 まず,化学科には有機,無機,物理,生化学と多様な分野の研究室があります.各分野の基礎を学び,どの分野に本当に興味を持っているのかじっくりと考えてから研究室を選べるという点は,どの分野を選ぶか悩んでいる人にとって絶好の機会となるでしょう.
 また,化学科の大きな特徴として,グローバルな環境も外すことはできません.授業を英語で行うという試みにより,海外からの学生が多く入学することができるようになり,他にない国際的な環境が生まれています.多様な学生との交流はとても刺激的です.また,留学・TOEFL準備を支援してくれるGlobal Science Course(GSC)プログラムも,貴重な体験をもたらすことでしょう(私はパンデミックの影響で留学はできませんでしたが……).

これらの利点に加え,化学科には,指導教員や研究室メンバ,友人と共に,目標を追求するための良い研究環境が揃っています.化学科にて,みなさんをお待ちしております.
(2024.5掲載)


Deng Yunjie
Deng Yunjie(構造化学研究室)
化学専攻 博士課程 2年

Choosing the right academic department to pursue your education could be a challenging decision, but I was lucky enough to have a professor who had firsthand experience with the Department of Chemistry at the University of Tokyo. Their high praise for the program sparked my interest, and after conducting thorough research, I found myself drawn to the excellent global environment offered by the Department.

The department's feature is that many classes are taught in English. This was a huge relief for me because I knew that language barriers could have been a significant obstacle to my academic pursuits. The faculty's diverse student body also caught my attention. Interacting with people from different cultures, backgrounds, and perspectives can enrich academic and personal experiences, broaden horizons, and develop a more open-minded and culturally aware individual.

Moreover, as a biomedical engineering major, the Department of Chemistry's unique blend of biology and physics fascinated me. Understanding the molecular and cellular processes underlying diseases and developing innovative solutions to combat them require a deep understanding of chemistry, making this program an ideal fit for me. With interdisciplinary research opportunities and practical laboratory experience, the Department of Chemistry at the University of Tokyo provides an excellent learning environment for aspiring students.

In summary, the Department of Chemistry at the University of Tokyo offers an excellent global environment, interdisciplinary research opportunities, and practical laboratory experience that can help future students gain valuable knowledge and skills. Regardless of your major or language, the Department of Chemistry at the University of Tokyo offers a special place for everyone. Studying here could be a fulfilling and rewarding experience that will be invaluable in your future career.
(2023.5掲載)


関根 由佳
関根 由佳(分析化学研究室)
化学専攻 博士課程 2年

私はお茶の水女子大学理学部化学科を卒業後、修士から東大化学専攻の分析化学(小澤)研究室に所属しています。現在は博士課程に在籍し、細胞内ではたらくタンパク質(酵素)について、外部からの光刺激によって人工的にタンパク質活性を操作できる“オプトジェネティクス”の原理を利用しながら調べています。

化学専攻は、グローバルに活躍できる研究者として成長する上で、非常に魅力的な場所だと実感しています。その1つの要因として、化学専攻の特色である英語が挙げられると思います。授業などは基本英語で行われるほか、研究発表や修論の執筆・発表も英語で行ってきました。ボキャブラリーが増えるほどディスカッションも弾み、論文もより読みやすくなったように思います。研究発表での英語での質疑応答も、日々の研究生活で培った英語力と専門知識をもとに、着実に進歩できていると感じています。

現在の研究室では、優秀かつ多様な仲間に囲まれながら、研究に集中することができています。研究で行き詰まった時には、先生や先輩方に様々な角度からアドバイスをいただいています。実験を頑張っている周囲の学生の存在は、モチベーション向上につながってきました。留学生も多く、日本にいながらも様々な国の文化にも触れ、時に留学に近い経験ができる環境は、非常に刺激的だと感じています。

化学専攻は、広く深く科学を学びたい学生だけでなく、将来の分野を迷っている学生にも向いているかもしれません。各研究室では、多様な研究内容が展開されています。また雑誌会セミナーで世界中の研究者の講演を聴くことや、授業などで企業の研究者のお話を聴くことのできる機会もあります。以上は私の経験に基づいて感じたことですが、きっとそれぞれが研鑽を深めることのできる環境が化学専攻にはあると思うので、ぜひ多くの方に興味を持っていただけたら嬉しいです。
(2023.5掲載)


和山 稔明
和山 稔明(天然物化学研究室)
化学専攻 博士課程 2年

「複雑な分子を自在に操りたい!」これが私が化学専攻に進学した理由です。

私は学部では理学部ではなく、農学部に籍を置いていました。子供の頃に田んぼの手入れをしていた経験から、イネの研究をしたいと考えていたためです。しかし、有機化学の勉強をしていくうちに、複雑な構造を持ち強力で多様な生物活性を発現する天然有機化合物(天然物)に惹かれていきました。そこで大学院から化学専攻に進学し、現在は天然有機化合物を人工的に化学合成する研究をしています。

私が農学部で有機化学に出会ったように、化学は理学部化学科だけでなく、農学部・薬学部・工学部など多くの学部・学科で学ぶことができます。しかし、他学部ではなく、理学部化学科で化学を学ぶ意義は非常に大きいと私は考えます。化学科で「化学」するススメとして、本学科の特徴を二点ご紹介いたします。

第一に、化学科では最も基礎的に深く化学を探究することができます。社会に求められて行うneeds-orientedな研究はもちろん、seeds-orientedな基礎研究を尊ぶ風潮が化学科にはあり、羽を伸ばして思う存分研究活動に打ち込むことができます。近年、基礎研究の重要性を社会が再認識し始めています。今だからこそ化学科で化学を学ぶ価値があるのではないでしょうか。

第二に、化学科では世界トップレベルの恵まれた環境で研究を行うことができます。設備が優れているだけでなく、教員や学生も常に熱意に満ち溢れています。化学科には物理化学・材料化学・無機化学・分析化学・有機化学・生命化学などの研究室がありますが、どの研究室においてもその分野で世界をリードする研究が行われています。最先端の設備を利用した実験や日々のレベルの高い議論が皆さんの化学的好奇心を満たしてくれること間違いなしです。幅広い化学の分野の中から興味のある分野を見つけることもできるでしょう。

化学科の特徴である英語での講義も、身構える必要はありません。研究を進めていくと、論文を英語で読み書きしたり、意思疎通やプレゼンテーションを英語でしたりする必要があります。化学科での英語教育はそのためのいい訓練になっていると思います。

皆さんと化学科で「化学」できる日を心待ちにしています。
(2023.5掲載)


秋吉 美里
秋吉 美里(物理有機化学研究室)
化学専攻 博士課程 3年

私は学部時代に都内の私立大学に籍を置いており,他大学からの受験を経てこの理学系研究科化学専攻に入学しました.その自身の経験を踏まえて,メッセージを送りたいと思います.

私は学部時代,既存物質を用いた分析研究を主に行っていましたが,自分の手で新規高機能材料を創りたいと思うようになりました.更に多岐に渡り応用の効く化学分野で最先端の研究をしてみたいという思いから,この理学系研究科化学専攻への受験を決めました.

まず初めに,大学院の進学案内に従い説明会に参加し,気になる研究室の見学に積極的に行きました.その際,教授・スタッフや研究生に直接話を伺い,研究室の雰囲気を掴むことが重要だと考えています.研究室の中で,自身が毎日実験でき,皆と有意義な時間を共有できるかどうか,をイメージしながら研究室見学を心がけると良いと思います. 受験勉強は,各科目において高度な問題が出題されるため,卒業研究を進めつつも,うまく時間を見つけては可能な限り受験勉強に時間を割く必要がありました.

進学後は,学力的に皆について行けるのか?と言う不安は正直なところありました.しかし,各々の大学のカリキュラムや選択科目の差異から生じる知識の差はあるものの,足りない部分を丁寧に埋めていく努力を重ねれば,大きな心配はないと思います.私自身,無機系の分析化学から構造有機化学への分野替えを経験し,自分の無知さや実力不足を痛感する場面は幾度とありましたが,研究室のスタッフの手厚いサポートや,先輩方,同期の仲間達にも恵まれ,無事に修士の学位を取得し,博士課程で研究を続けることができています.

また,化学専攻では英語教育に力を入れています.講義や研究室内のセミナー,修論発表は英語です.私自身,英語を勉強したいと思いつつ自分では後回しにしてしまう傾向がありました.そのため,日常的に使える環境に身を置けたことで,入学当初に比べて英語力が上がってきているものと,自分では期待しています.

新しい環境で,新しいテーマを学ぶ事は容易なことでは無いと思います.しかし,化学専攻の元であれば,多角的に大きく成長できる機会を得ることは間違いないと思います. このメッセージを読んで,少しでも入学を考えてくれる方が増えると嬉しいです.
(2022.5掲載)


大野 湧仁
大野 湧仁(生物有機化学研究室)
化学専攻 博士課程 3年

僕の“科学”への興味の発端は子供の頃に日々触れ合っていた生き物への好奇心です。当時は虫取りに行ったり、図鑑を読んだりすることでその好奇心を満たしていましたが、次第にそれは学問的好奇心に変わっていきました。

-生き物は細胞が集まってできている。-
では細胞の中はどうなっているのか。
-細胞内にはタンパク質、核酸などの分子が存在する。-
では分子は何からできているのか。
-分子は原子からできている。-
では原子とは何か。
-原子は電子と原子核からなる。-

このように疑問は連鎖し次々と新たな疑問を生み出します。科学は自然を記述するための手法とよく言われます。上の例で当てはめると細胞レベルでの現象を説明したければ”生物学”が担うし、分子・原子レベルでは”化学”、原子の起源ともなれば”物理学”のように区分できると思いますが、固有の性質を持った原子の結合の組み替えで自然を読み解く化学が明解で、納得でき最もよく僕の探究心を満たしてくれました。
理学部化学科はそんな“科学”としての“化学”を学べる学科だと思います。それは同じモチベーションを持っている人が集まっていることが大きいのではないでしょうか。さらに理学部には同じ動機で”生物学”、“物理学”…を学んでいる仲間がいて、そんな仲間と同じ授業を受け刺激し合える環境があります。これは理学部ならではだと思います。

そして、化学科のカリキュラムを通してそれを実感してきました。3年生ではほぼ毎日学生実験があり、4年生では1年間卒業研究に取り組みます。その卒業研究は単なる先輩方の手伝いや、プロトコルだけ渡されて言われた通りする作業ではなく、自分で考え教員、先輩方との議論を通して行う最先端の研究です。またこの学科には大規模な研究室が多く、実験設備、多くの優秀な教員方に恵まれています。科学をする上で必要な要素はすべて揃っていると断言できます。理学部化学科は研究を通して得られる感動を味わい、それを共有する仲間がいる学科です。ぜひ一緒に研究を楽しみましょう!
(2020.5掲載)


中尾 龍二
中尾 龍二(構造化学研究室)
化学専攻 博士課程 3年

化学に興味を持つ皆さんを、理学部化学科は素晴らしい機会と環境を用意して待ってくれています。

どの学部・学科でも4年生には研究室を選んで所属することになると思いますが、自分のやってみたいテーマや、日々の研究生活では何をしていくのかは実際に体験してみないと分からない部分もあるかと思います。しかし理学部化学科では化学の幅広い分野にわたる講義と学生実験を通して自分の興味を探ることができる上、インターン等の形で各研究室の内部を覗ける機会が設けられており、必ずや自分の興味にフィットした研究室を見つけることができると思います。

講義の英語化に関しては、最初は英語文献を読むのに少しは苦労するかもしれませんが、研究室に入って英語文献を当たり前のように読むようになってから振り返ると、そうした経験がかなり大変役に立ったと感じます。これに加えて、グローバルサイエンスコースでは大学から資金援助を受けて海外の研究室に二ヵ月ほど滞在させてもらうことができます。私はひょんなことからこのプログラムに応募し、アメリカのノースカロライナ大学チャペルヒル校に二か月滞在しましたが、学生の考え方の多様性のみならず日本との生活の違いをじかに知ることができ、大変貴重な経験となりました。

また、化学科では毎年研究室対抗でのソフトボール・サッカー大会が開催されているなど、よい交流や気分転換の場も設けられています。

このように、実際に化学科に進学してみると、想像していたよりも様々な面白い体験ができると思います。皆さんが理学部化学科に進学してくれることを待っています。
(2022.5掲載)

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