理学部化学科・理学系化学専攻学生からのメッセージ

鬼頭 尚暉 (化学反応学研究室)

化学専攻 修士課程 1年

皆さんにとって、「化学」とはどのような学問でしょうか。高校までにも学習したように、身の回りの物質が種々の原子・分子から成り立つことや、目に見える現象が化学反応式で記述されることなどをイメージするかもしれません。また、駒場の授業で原子・分子の性質や反応を理論的に取り扱ったことを思い出す方もいるでしょう。「化学」とは、身の回りの様々な物質や現象を理論的な側面から取り扱うことのできる、まさに理論と現実との境界に立つ学問だと思います。私はそうした「化学」の在り方に心を惹かれ、理学部化学科に進学しました。

学部3年生の授業では、講義や実験を通して化学の様々なフィールドに触れることができ、時間をかけてじっくりと自分の興味と向き合うことができます。化学科のほとんどの講義は英語で行われ、研究の場で必要とされる英語力が自然と養われていきます。また、ほぼ毎日行われる学生実験を通して、基本的な実験操作や得られた結果のまとめ方などを濃密に学ぶことができます。これらのカリキュラムを通して育まれたスキルは、学部4年生から始まる本格的な研究活動において必ず役に立つでしょう。

この理学部化学科には知識と理論を駆使して新たなフロンティアを切り開こうとする、様々な分野の研究室が勢ぞろいしています。有機化学・無機化学・物理化学はもちろんのこと、他分野との境界領域にあたる生命化学や地球化学など、あらゆる化学のトップランナーが研究室を構えるなか、学生は自分の興味に最も近い研究室を選ぶことができます。そのような贅沢な環境の中でのびのびと「化学」を楽しみたい、少しでもそう思える人は一歩踏み出して化学科の門をたたいてみてはいかがでしょうか。


坂口 大輝 (物性化学研究室)

化学専攻 修士課程 1年

理学部化学科の良いところの一つは、様々な経験をする機会に恵まれることにあると思います。

2年生の後期ではまず日本語で化学の基本を学びます。また同時に化学英語を学ぶ講義もあり、3年生以降の英語授業に向けた準備が十分にできるでしょう。 3年生に入ると英語授業と学生実験が始まります。授業では物理化学・有機化学・無機化学を初め幅広く学べ、それぞれの分野の基礎的な実験手法を学生実験で学べます。3年生からは留学生も同じ教室で学ぶので関わる機会も多く、英語でのコミュニケーションの練習が自然とできることも良い点です。また化学科では3年生のときに、15人程度のグループで教員のサポートのもと研究室での実験を体験し、その結果について5月祭でポスター発表を行います。早いうちから将来的に研究室でどのようなことをするのか知ることで、より一層勉学に身が入るようになるのに加え、グループの人と話し合いながらポスターを作成する過程は楽しく有意義な時間です。 4年生に入ってからの本格的な研究生活でも素晴らしい経験ができます。研究室に入ると最先端の設備で最先端の研究を行うことになります。新しい事実を自分で発見していく経験そしてそれを人前で発表する経験は今後どのような道に進もうと役に立つと思います。

加えて化学科はグローバルな人材育成に力を入れており、多様な文化や考え方を知る機会があります。その際たるものとしてGSC(グローバルサイエンスコース)が挙げられるでしょう。GSCというプログラムでは3年の冬または4年の夏に海外の研究室に2ヶ月ほど滞在します。私は3年の冬にこのプログラムでイギリスのリーズ大学に行ってそこでの研究を体験しました。研究体験としても素晴らしいものでしたが、何より海外での生活の難しさや日本との違いを知れたこと、そして日本人以外の学生とたくさん話せたことは非常に良い経験となりました。

このように理学部化学科では様々な経験をする機会に恵まれています。化学系の進学を考えている方はぜひ化学科にいらしてください。


大野 湧仁 (生物有機化学研究室)

化学専攻 修士課程 2年

僕の“科学”への興味の発端は子供の頃に日々触れ合っていた生き物への好奇心です。当時は虫取りに行ったり、図鑑を読んだりすることでその好奇心を満たしていましたが、次第にそれは学問的好奇心に変わっていきました。

-生き物は細胞が集まってできている。-

では細胞の中はどうなっているのか。

-細胞内にはタンパク質、核酸などの分子が存在する。-

では分子は何からできているのか。

-分子は原子からできている。-

では原子とは何か。

-原子は電子と原子核からなる。-

このように疑問は連鎖し次々と新たな疑問を生み出します。科学は自然を記述するための手法とよく言われます。上の例で当てはめると細胞レベルでの現象を説明したければ”生物学”が担うし、分子・原子レベルでは”化学”、原子の起源ともなれば”物理学”のように区分できると思いますが、固有の性質を持った原子の結合の組み替えで自然を読み解く化学が 明解で、納得でき最もよく僕の探究心を満たしてくれました。 理学部化学科はそんな“科学”としての“化学”を学べる学科だと思います。それは同じモチベーションを持っている人が集まっていることが大きいのではないでしょうか。さらに理学部には同じ動機で”生物学”、“物理学”…を学んでいる仲間がいて、そんな仲間と同じ授業を受け刺激し合える環境があります。これは理学部ならではだと思います。

そして、化学科のカリキュラムを通してそれを実感してきました。3年生ではほぼ毎日学生実験があり、4年生では1年間卒業研究に取り組みます。その卒業研究は単なる先輩方の手伝いや、プロトコルだけ渡されて言われた通りする作業ではなく、自分で考え教員、先輩方との議論を通して行う最先端の研究です。またこの学科には大規模な研究室が多く、実験設備、多くの優秀な教員方に恵まれています。科学をする上で必要な要素はすべて揃っていると断言できます。理学部化学科は研究を通して得られる感動を味わい、それを共有する仲間がいる学科です。ぜひ一緒に研究を楽しみましょう!


福永 隼也 (物理有機化学研究室)

化学専攻 博士課程 1年

どの学部でも当てはまる内容でしょうが,僕からは"大学の環境を存分に活用しよう"ということを伝えたいと思います.決められた数の単位を揃えて,毎日学生実験に出て,与えてもらったテーマで研究を行う,といったことは最低限のこととして取り組むべきでしょう.しかし,それ以上に学問を楽しむチャンスが,この学科,大学にはいくらでもあると思います.

学生実験ではまれに自由課題のようなものがあり,決められた課題以外に自分自身で実験を計画できました.また授業や学生実験で扱う内容は古典的なものが中心ですが,化学図書室に行って有機化学の最先端の総説が日本語で書かれた雑誌を読み,授業とは違った化学の面白さを知ることができました.さらに化学について深く知りたいと思い,3年生の夏休みや春休みには今の研究室で特別に研究を行わせていただきました.また4年生になって研究室に配属されてからは,研究テーマの本筋からそれていても自分の興味に沿って自由に実験を計画・実行することができ,このような実験の中からこそ面白い結果が出てくることもありました.

他にも,オフィスアワーを利用して最先端の研究を行っている先生と話すこともできますし,学部生でも雑誌会に参加し海外の研究者の講演を聞くこともできます.留学ができるプログラムも用意されています.化学に興味のある人は,この恵まれた環境を使わない手はないでしょう.積極的に化学を学ぼうとする学生が理学部化学科に来てくれることを待っています.


伊藤 駿 (化学反応学研究室)

化学専攻 博士課程 1年

理学部化学科といえば、「英語」というのが多くの人の印象だと思います。英語授業には様々な意見がありますが、私は英語でよかったと思っています。特に4年生で卒業研究を始めると英語の文献を読む機会が多く、授業で培った化学英語が大きく役に立ちました。はじめは慣れないかもしれませんが、英語で分からないところは日本語で質問したり日本語の参考書を読んだりして補うことができます。3年生の時期に1年かけてゆっくりと英語に慣れることができる環境は理学部化学科の大きな特徴であり、英語の苦手な人にこそ絶好の機会だと思います。

英語に関係ない話では、学生実験では各人に専用のスペースが与えられ、充実した設備とカリキュラムを通して広範な化学実験の基礎技術を習得することができます。講義では有機化学や無機化学といった中心となる分野に加えて、天然物化学や地球化学といった広範な化学について学ぶことができます。 理学部化学科では世界最高水準の研究環境に加えて、学生実験や英語授業、グローバルサイエンスコースなど多くの面で研究者になるための支援が充実しています。化学系の進学で迷っている方は是非理学部化学科へ。


趙 晋軒 (生物有機化学研究室)

化学専攻 博士課程 1年

中国の古代哲学者たちは『辞糸伝』で、自然科学を究める人の使命を述べています。自然現象を見たら、そのメカニズムを抽出して、実際の器に具現化することです。そしてその器を利用することで、人々は自然現象の恩恵を受けることができます。例えば火は自然に存在するものですが、多くの神話では、火は優しい神が貧しい人間に与えたものだとされています。しかし私は、本当の神は火を作る方法を発明した人だと思います。化学はまさにそれと同じことを世界や社会に対して行っています。化学は、物質の検出、変化、創造など、数え切れないほどの方法を自然現象から抽出してみんなに捧げています。

化学科は、自然を読み解くことに興味があり、自分の成果を世界に広めたいと思っている学生のための出発点です。学部では、量子化学から有機化学のラボワークまで幅広いカリキュラムが設定されており、これまでの研究者がどのように研究して自然から何を得ているのか、基礎知識を習得します。国際的に認められた研究者としての基礎を築くために、すべての講義は留学生と一緒に英語で行われます。そして四年目の卒業研究では、研究室に配属され、自分の興味に合わせた最先端の研究ができます。また大学院では、講義、セミナー、学会を通じて化学研究の最新情報を提供します。この段階で自分の研究テーマを設計、実行する自由を持つ、真の科学者として扱われます。

科学を人生の天職とし、人類に貢献できる場所を探している人にとって、化学専攻は最適な場です。私たちは自然を賛美したりするのだけではなく、それをコントロールし、利用するべきです。化学科は常に火の盗みを歓迎しています。


Phillip McCann (構造化学研究室)

化学専攻 博士課程 1年

From my own experience, the Department of Chemistry is one of the best places at the University of Tokyo to experience research in an international environment. Most of the lectures are conducted in English, and graduation from the department requires students to present and defend their research in English as well. As a foreigner, I know that it is not easy to present or take classes in a foreign language, however, this kind of opportunity is invaluable to those students who wish to work on the international stage. These types of requirements, along with the international outreach of the department, have led many foreigners (including myself) to join the department, creating a rich and diverse international atmosphere for students and professors to work in. I joined the department as a Masters student in 2018 because it was one of the only departments in Japan that I could apply to as a student living in the United States which did not require me to fly to Japan, take a test, and fly back home to wait for the results at my own expense. During these years, I have had a great time focusing on research and talking to my labmates in Japanese and English to mutually better our language skills.

That being said, student life at the Department of Chemistry is not necessarily easy and will take some effort to graduate. Once you become a 4th-year student, you will have to join a laboratory in the department and use all the knowledge you have acquired in your classes and labs to conduct a present an experiment of your own. However, you will never be alone and will have the opportunity to ask questions and learn from your fellow lab mates and professors. I have seen many Japanese students, Bachelors and Masters, graduate from the department with a much higher English level and scientific understanding than when they came in. In turn, many of them have used these new skills to fulfill their dreams of joining international companies and research facilities around the world. If you are looking for some challenge in your life and have big ambitions for your future, the Department of Chemistry here at the University of Tokyo is one of the best places to be!


中川 悠太 (構造化学研究室)

化学専攻 博士課程 2年

みなさんはSerendipity(セレンディピティ)という言葉を知っていますか?素敵な偶然に出会うことや、予想外の発見をすることをこう呼び、これまでの科学的発見の多くも、Serendipityな結果によると考えられています。

私が今所属している研究室との出会いもまさにSerendipityでした。当時は、アメリカの大学で化学専攻として日々勉強に勤しんでいましたが、卒業後の進路も含めて自分自身、本当に何がしたいのか確信を持てずにいました。そんな時、ひょんなことから合田先生の研究室がインターン生を受け入れていると知り、思い切ってお願いしました。当時は合田研で行われていた研究内容もほとんどわからず、何も知らない状態で飛び込みました。しかし、そこで出会った研究に私は魅了されました。最先端の技術開発を行うテーマもさることながら、自分の好きなことに粘り強く、諦めずに挑戦している人が沢山いる環境がとても魅力的でした。アメリカに戻ってからも合田研究室のメンバーと交流を続け、卒業後帰国し、今に至ります。

理学部化学科には、このような思いがけない、素敵な出会いがたくさんある場所だと思います。授業、学生実験、インターン、雑誌会セミナーなど、東京大学で行われている研究に触れる機会がたくさん用意されているので、積極的に活用して情報収集をしてみてください。化学科では、基礎研究から応用研究まで幅広い最先端の研究が行われており、思いがけないところから自分が本当に興味をそそられる研究、いままで知らなかったことや考えてもみなかったことが見つかると思います。

4年生になれば、本格的な研究生活の始まりです。もちろん、ただ漠然と偶然を待っているだけでは何も始まりません。論文を読み、仲間と論議を重ねながら、自分の研究テーマを深く掘り下げる必要があります。何をしていいかわからず途方にくれることもあるかもしれません。そんな時は研究室の先生や先輩方を頼ってください。世界中にいくつも大学や研究所がある中、同じ時に同じ場所で研究に励んでいる、ということもある意味ではSerendipityだと思います。周りの助けを借りながら様々な困難を乗り越え、なにか新しいことを見つけた先に、教科書を読むだけでは分からない化学の本当の面白さがあると思います。みなさんもぜひ一緒に化学を追求してみませんか?きっと皆さんにも素敵なSerendipityが待っていると思います。


増田 隆介 (有機合成化学研究室)

化学専攻 博士課程 2年

「化学」というフィルターを通して世界を見てみたい。それが、私が化学を志したきっかけでした。急速に発展していく現代において、身の回りにあふれるもの・情報の根幹にある物質・原理に目を向ける機会はとても少なくなっているのではないでしょうか。そのような日常では体感することが難しい、しかしながら日常を支えている物質・現象を実際に自分の手で作り、目の前で起こすということを化学は実現できると思います。

数ある化学系の進学先から私が理学部化学科を選んだ理由は、幅広く多様な研究室があるということです。有機化学、無機化学、物理化学、さらには地球化学、生命化学にいたるまで各分野において世界をリードする研究室が揃っています。1年かけて実際に各分野の実験を行うことができるカリキュラムも用意されており、自分のやりたい分野をしっかり見定めてから4年生で配属される研究室を選ぶことができます。さらに、研究室配属後も、学科内での研究室をこえたセミナーだけでなく、学科・各先生方が主宰される雑誌会において国内外問わず様々な分野の先生方(時にはノーベル賞受賞者の方も)の講演を聴くことができます。このように幅広い分野の最先端の研究に日常的に触れることができるのは、化学科の大きな魅力だと思います。

化学に興味のある人ならば満足できる環境であると思います。様々な情報が飛び交い、迷うこともあると思いますが、自分の頭というフィルターを信じて自分のやりたいことを強く持ってください。大学として東京大学を選んだ皆さんにとって、学部・学科の選択は今後の進路に大きな影響を及ぼす決断となることと思います。このメッセージがその踏み出す一歩の後押しとなれば嬉しいです。


松原 卓也 (量子化学研究室)

化学専攻 博士課程 2年

化学の一番の魅力は、その多様性だと思います。一方では生物学と、もう一方では物理学と重なります。社会に直接関わる研究と、極めて基礎的・専門的な研究が共存しています。学部3年生の授業では、講義・実験の両面からそうした多様な分野の基礎に触れることにより、視野の広さ、異分野への関心を養うことができます。それ以上に、より幅広く学べる方が楽しいはずです。

化学科の学問の幅広さは、決してその浅さを意味しません。各研究室では世界最高レベルの研究が行われています。学生は学部4年生に進級する際、所属する研究室を選択します。学部3年で触れた幅広い分野の中であなたが最も関心を抱いた分野について、世界の最先端まで学ぶことが出来ます。 理学部化学科では、化学を広く深く学ぶことができます。ぜひ一緒に化学を楽しみましょう。


道場 貴大 (革新分子技術 総括寄付講座)

化学専攻 博士課程 3年

今この文章を読んでいるということは,あなたは少なからず化学に興味があり,理学部化学科への進学を少しでも考慮に入れているのではないでしょうか.私が数多くある化学系の学科で理学部化学科を選んだ理由は,理学部的な精神にもともと興味があったからです.つまり,実用的な技術を開発して人の役に立ちたいという気持ちよりは,未知のことに対してなぜだろうという好奇心が優っていました.実際に化学科に進学してみると,学生も教員も皆好奇心が旺盛で,自分の好奇心もますます刺激され,本当に理学部化学科に進学してよかったと思っています.みなさんにもぜひこのワクワク感を実感してほしいです.

一言に化学科といってもここでは紹介しきれないほど様々な研究が行われているので,どのような研究室があって,どのような研究が行われているかを知りたい人は,まずは理学部化学科ホームページをチェックしてみましょう!