research info画像

金ナノ粒子のサイズ効果

 金ナノ粒子触媒の活性や選択性を決定する要因として,ナノ粒子のサイズは非常に重要である.一般的に小さいナノ粒子ほど,大きいナノ粒子より高い触媒活性を有することが知られている.そのような中,我々は珍しい金ナノ粒子のサイズ効果を発見した.すなわち,より大きいナノ粒子や中位の大きさのナノ粒子が小さいナノ粒子より高い活性や選択性を示すということである.
 我々は高分子化ルセランド型金ナノ粒子触媒の調製においても,サイズ選択的にナノ粒子を形成する手法を見出した.一般的に金塩をより穏和な条件で還元すると小さいナノ粒子が形成され,加熱条件で還元すると大きなナノ粒子が形成される.さらに,加熱架橋の段階で溶媒を用いることでも大きいサイズのナノ粒子が形成することも見出した.


Topics

  1. 高分子カルセランド型金ナノ粒子:担持量,ナノ粒子サイズ,触媒活性における相関
  2. アミンのイミンへの酸素酸化におけるサイズ効果
  3. アルデヒドとアミンからの酸化的アミド合成におけるナノ粒子のサイズ効果

高分子カルセランド型金ナノ粒子:担持量,ナノ粒子サイズ,触媒活性における相関

research info画像


Comment

 水素化ホウ素ナトリウムを還元剤として金の一価の塩から調製した金ナノ粒子が内部に架橋構造を有するポリスチレン誘導体を用いることで内包化できることを見出した.その際,金の担持量がそのナノ粒子のサイズに影響した.高い担持量の触媒はより大きなナノ粒子を含有するのに比べ,低い担持量の触媒はより小さいナノ粒子を含有した.そして,小さいナノ粒子を含む触媒ほど,アルコールの酸素酸化反応においてより高い触媒活性を示した.
Plese see also here.


Access to paper

  1. Aerobic oxidation of alcohols at room temperature and atmospheric conditions catalyzed by reusable gold nanoclusters stabilized by the benzene rings of polystyrene derivatives
  2. Miyamura, H.; Matsubara, R.; Miyazaki, Y.; Kobayashi, S.
  3. Angew. Chem., Int. Ed., 46, 4151-4154 (2007). DOI: 10.1002/anie.200700080 [VIP]
  4. Selected as inside cover
  5. back to top

アミンのイミンへの酸素酸化におけるサイズ効果

research info画像


Comment

 1.5-3 nm程度の小さい金ナノ粒子が大きいナノ粒子に比べより高い活性を示すことが一般的に知られている.高分子化ルセランド型金ナノ粒子触媒(PI-Au)を高温条件(110-150 ºC)でのアミンのイミンへの酸素酸化反応に用いた際,回収,再使用した触媒が元々の触媒より高い活性を示すという興味深い現象が観測された.回収,再使用した触媒を注意深く観測したところ,ナノ粒子のサイズが増大していることが明らかとなった.我々は触媒調製法を変更(加熱架橋の際にデカンやメシチレンを用いる)することで,より大きなナノ粒子を含有する触媒を調製した.様々なサイズのナノ粒子を含有する触媒を本反応で評価することにより,ナノ粒子のサイズと反応性との明らかな相関を見出した.本発見は大きいサイズのナノ粒子が小さいサイズのナノ粒子より高い活性を示すという珍しい例である.
Plese see also here.


Access to paper

  1. Aerobic Oxidation of Amines Catalyzed by Polymer-Incarcerated Au Nanoclusters: Effect of Cluster Size and Cooperative Functional Groups in the Polymer
  2. Miyamura, H.; Morita, M.; Inasaki, T.; Kobayashi, S.
  3. Bull. Chem. Soc. Jpn. 84, 588 (2011). DOI: 10.1246/bcsj.20100300
  4. [BCSJ Award Article]
  5. Selected as cover
  6. back to top

アルデヒドとアミンからの酸化的アミド合成におけるナノ粒子のサイズ効果

research info画像


Comment

 我々は,還元的にナノ粒子を調製する際の温度,加熱架橋の際の溶媒条件を変化させることで,異なるサイズ(2.9 – 33 nm)の金ナノ粒子触媒を調製した(上記の図参照).金ナノ粒子のサイズが,酸素酸化によるアルデヒドとアミンからのアミド合成反応における選択性に大きく影響した.中程度のサイズの金ナノ粒子触媒(4.5 – 11 nm)が最適で,高い選択性をもってアミドが得られた.金ナノ粒子表面上の利用可能部位における反応の効率性と,酸化反応の活性が本反応における重要なポイントであり,中程度のサイズの金ナノ粒子の場合両要因のバランスがちょうどよいことから選択的なアミド生成が可能であると考えられる.


Access to paper

  1. Size of Gold Nanoparticles Driving Selective Amide Synthesis through Aerobic Condensation of Aldehydes and Amines
  2. Miyamura, H.; Min, H.; Soulé, J.-F.; Kobayashi, S.
  3. Angew. Chem., Int. Ed., 54 7564-7567 (2015). DOI: 10.1002/anie.201501795
  4. back to top