測定にまつわるトピックス

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No. 25 塩素分析開始のお知らせ 更新日:2013.10.9


10月15日(火)より塩素の元素分析受託を開始します.




No. 24 バイルシュタインテスト 更新日:2013.9.25



図. p-クロロ安息香酸(キシダ化学有機元素分析用標準試料)のバイルシュタインテスト.


ハロゲンの定性試験法として古くからバイルシュタインテストが知られています(フッ素は検出されません.CuF2が不揮発性のため).文献によっては,より詳細に規程しているものもありますが,手順はおよそ以下の通りです.

(1) 銅線をバーナーで赤くなるまで焼いたあと,しばらくおいて冷ます.
(2) (1)の銅線に試料をのせ,バーナーの炎へ導入.

 このように大変簡単な方法でハロゲンの有無を知ることができ,上の写真のように見た目にも華やかな試験法ですが,日本薬局方によれば,ヒドロキシキノリン,チオ尿素,グアニジン,メルカプトベンゾチアゾール,サリチルアルドキシムなどは,ハロゲンを含まないにも関わらず,陽性を示す,とあります.
 また,検出限界についてもいくつか報告があるものの,定かではないので破壊分析の割に得られる情報は多くありません.従って,すでに良くわかっている化合物であれば有用な場合もあると思いますが,新規化合物においてバイルシュタイン試験の結果を重視することはおすすめしません.当分析室では依頼があれば行いますが,他に分離分析可能なフラスコ燃焼-IC法という選択肢もありますので,ご相談ください.

参考文献

1. '1.04 炎色反応試験法'
第十五改正 日本薬局方解説書, 2006, B-18, 廣川書店.
2. 'The 'Volatile Copper Compound' and its Effect on the Beilstein Test'
Keller, A. Nature, 1951, 167, 907-908.
3. 'The Beilstein Test: An Unintentional Dioxin Source in Analytical and Research Laboratories'
Schlz-Bottcher, B. M.; Bahadir, M.; Hopf, H. Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 1992, 31, 443-444.
4. 'Uber den Nachweis von Chlor, Brom und Jod in organischen substanzen'
Beilstein, F. Ber. Dtsch. Chem. Ges. 1872, 5, 620-621.
5. 'A Modified Beilstein Test for Halogens in Volatile Organic Compounds'
WM. L. Ruigh, Merck & Co., Inc., Rahway, N. J. Ind. Eng. Chem. Anal. Ed. 1939, 11, 250.
6. 'Modified Beilstein Test for Halogens in Organic Compounds'
Douglass F. Hayman, Merk & Co., Inc., Rahway, N. J. Ind. Eng. Chem. Anal. Ed. 1939, 11, 470.
7. 'Short report: Lack of specificity of Beilstein test in detecting pyrethroid insecticide on coloured mosquito nets'
C. J. Drakeley, J. Armstrong Schellenberg, S. Abdulla, C. Lengeler, Trop. Med. Int. Health, 1999, 3, 639-640.
8. 'Spektrometrische Chlorbestimmung unter Anwendung eines modifizierten Beilsteintests'
Klaus Doerffel, Ralph Hebisch, Fresenius Z. Anal. Chem. 1989, 334, 242-245.
9. 'Some Notes on the Beilstein Halogen Test'
Jureek M. Collect. Czech. Chem. Comm. 1950, 15, 236-240.
10. 'Analytial Methods for Methyl Bromide'
V. A. Stenger, S. A. Shrader, A. W. Beshgetoor, Ind. Eng. Chem. Anal. Ed. 1939, 11, 121-124.



No. 23 装置仕様 更新日:2013.7.19

当分析室で使用しているDIONEXのICS-1600の装置内部の構成について下図に示します.流路は①から⑬の順になっています.


① 脱気ポンプ(デガッサ):液中の空気を除きます.
② 溶離液バルブ:溶離液の瓶が高い位置(装置の上部)にあるため,落差によって液が落ちるのを防ぎます.
③④ ポンプヘッド:脈流を防ぐために,ポンプが二つ直列に繋がっています.
⑤ 圧力トランスデューサー: システムの圧力を測定します.
⑥ パルスダンパー:流速を安定させます.
⑦ バルブ:点線の流路がロード(採取)位置,実線がインジェクション(導入)位置.接続が切り替わる.
  S:試料を導入.インジェクションバルブ(試料導入口)と接続している.
  P:パルスダンパーから来る溶離液の入り口.
  L:サンプルループ.インジェクションバルブから入った試料はこのループの容積分のみ装置へ導入される.他の配管に比べてやや細くなっており,そこから太めのラインに入っていくことでスムーズに流れる.
  C:溶離液と試料の混合液の出口.カラムへ.
  W:余分な液を排出(廃液).
⑧ 熱交換器: 溶液を設定温度まで温める(通常35℃).
⑨ ガードカラム:分離カラムと充填剤は同じでサイズが小さい.分離カラムの汚染を防止し,寿命を延ばす.
⑩ 分離カラム:試料中の各イオンを,ラテックス型陰イオン交換樹脂に対する親和力の差を利用して分離します.
⑪ サプレッサ:溶離液中の陽イオンをH+に変換することで電気伝導度を下げ,バックグラウンドを低くします.電気透析型.
⑫ 電気伝導度検出器:溶液の比抵抗を測定.
⑬ サプレッサ:⑪のサプレッサと同一ユニットですが,もう一度検出器から溶液が戻ってくることでサプレッサを再生します.(H+を取り戻す)


*図中の黄色で示した箇所は溶離液のみの流路,緑の箇所は試料と混合した後の流路.赤線がサンプルループ.


No. 22 装置仕様 更新日:2013.3.4,2017.4.4

<こちらの装置は2015年4月に廃棄し,エレメンター社vario MICRO cubeに切り替えました.>

当分析室で使用している,ヤナコテクニカルサイエンスCHNコーダーMT-6の装置内部の構成について説明します.


1. 燃焼
試料を導入すると燃焼が開始し,定量ポンプAが動作して生成した試料ガス(H2O,CO2,N2,He)が定量ポンプA内に吸引されます.燃焼時は高純度酸素と高純度ヘリウムの混合気体は,燃焼管からあふれている状態が常に保たれています.

2. 混合
試料ガスが全量採取されると,完全に均一化するための混合が行われます.

3. 記録
(i) 定量ポンプAのピストンが押し出され,試料ガスが一定速度で水素の検出器に送られます.H2O吸収管によってH2Oのみ除去され,残りが再度水素検出器に入ります.ここで両者の伝導度の差を測定します.
(ii) 続いて炭素検出器に入ったあと,CO2吸収管を通ってCO2のみ除去されて残りが再度炭素検出器に入ります.同様に両者の伝導度の差を測定します.
(iii) 最後に窒素検出器に入り,純ヘリウムの伝導度との差を測定します.

4. 掃引
ヘリウムガスが定量ポンプAのデッドスペースを通って燃焼系を逆流し,燃焼系内を置き換えるため(掃引),次の試料の分析ができる状態に戻ります.

以上はポンプA側についての動作の説明になりますが,定量ポンプBと交互に同じ動作を繰り返すことで短時間での分析が可能な装置になっています.当分析室では定量ポンプAのみを使用し,試料測定後に残留物がないか確かめるために定量ポンプBのシグナルを利用しています.

No. 21 高フッ素含有化合物の取り扱いについて 更新日:2013.2.12


 高フッ素含有化合物において,特に水素の含有率がきわめて少ない場合,塩化バリウム二水和物(BaCl·2H2O,キシダ化学株式会社,有機元素分析用試薬)を添加することによって良好な結果が得られることが知られています.

 生データとして得られる水素の分析値は塩化バリウム二水和物由来の水素の割合を手計算で差し引く必要があります.このため,これまで使用しない方針でしたが,明らかに効果のある事例があったため,必要に応じて利用していくことになりましたのでお知らせいたします.

参考文献:
『役に立つ 有機微量元素分析』前橋良夫,内山一美,有機微量分析研究懇談会,みみずく舎,医学評論社 p. 102.
飯島憲一,'元素分析における難燃性フッ素化合物の分析法の改良',技術部報告書,大阪大学理学研究科 技術部,2011年度,p .17.

No. 20 お知らせ (その5:フッ素,臭素分析について)更新日:2012.4.26


酸素フラスコ燃焼-イオンクロマトグラフィー法によるフッ素および臭素分析の受付を開始します.