測定にまつわるトピックス

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No. 17 硫黄分析 計算方法 更新日:2011.10.4,2017.5.15


硫黄分析の計算方法は以下の方法で行っています.この計算に必要な数値はすべて報告書に記載していますので各自で確認することもできます.
まず,検量線を作成するために必要な濃度を硫黄換算でppmで表します.イオンクロマトグラフ測定の段階では硫酸イオンの形で検出しますが,計算の上では,あとで戻すことになるので硫酸への換算は行いません.希釈法ではなく,いくつかの濃度の溶液を再調製する方法もあるため今後この点について検討する予定です.(→2011年9月30日報告分より,希釈溶液ではなく,燃焼分解した溶液を二つ用意して検量線を作成しています.従って,下図の3番目の式を使わないことになります.→さらに追記:2016年7月19日報告分より,5点プロットを2次式で近似した検量線を作成しています.)また広い濃度範囲の場合は原点を通らない2次の回帰曲線を用いる方が良いとされていますが,当分析室では低濃度範囲におさまるように溶液調製しているため,原点を含む1次回帰直線(直線とみなせる範囲)を用いています.なお,バックグラウンド(ろ紙のみ燃焼した場合の吸収液のクロマトグラム)は硫黄についてはないとみなせることを確認しています.



次に,得られた検量線とサンプル溶液のピーク面積から,以下の計算により重量パーセントを算出します.



報告書には検量線に使用した標準試料とは別の標準試料の分析結果を必ず記載していますが,これはその日の分析に問題がない(標準試料について良好な結果が得られる)ことをチェックするために行っています.



No. 16 標準サンプル測定の例 更新日:2011.1.28,2017.4.4

<こちらの装置は2015年4月に廃棄し,エレメンター社vario MICRO cubeに切り替えました.>

CHN測定においてばらつきは実際にどの程度か,何度も測定して平均を取るのが本来望ましいのか,という質問(Q&AのQ64)がありましたので,参考までにキシダ化学の有機元素分析用標準試薬を測定したデータの1例を掲載します.依頼サンプルの場合,ばらつきの程度はサンプルによって異なる(難燃かどうかの判断材料にもなる)ので平均して報告値とすることはいたしません,複数回の測定を希望される場合はご相談下さい.

また,キャリブレーションに使うサンプルを変化させると結果にどのような違いが出てくるかという質問(Q&AのQ68)にもある程度,お答えできるかと思います.Antipyrine, Acetanilide, s-Benzylthiuronium chloride, sym-Diphenylthiourea, Thioureaの順に3回ずつ測定した後,キャリブレーションとして設定する試料を変化させて再計算した結果の一覧です(通常の報告値はAntipyrineをキャリブレーション試料としています).気圧が安定しなかった日のデータなので,今後更新する可能性があります.

なお,標準試料以外の測定データをこのサイトに掲載することはありません.