測定にまつわるトピックス

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No. 53 炭素水素窒素分析 過去に報告した分析値について 作成日:2020.12.28


以下、すでに過去にご依頼いただいた研究室の代表者の先生方にお送りした報告書の文面(一部)を掲載します。
もしまだ届いていない等、疑問なことがありましたらご連絡ください。

↓↓↓↓↓以下転載↓↓↓↓↓

先にお知らせしましたvario MICRO cubeの問題点に関し、種々検討や動作確認を行った結果、過去に報告した検量線や分析値についても現在採用している方法とほぼ同様の以下の条件で再計算を実施することに致しました。


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(条件1). 各元素に相当するピークの面積値は当時ソフトウェアから紙に印刷した値を使い、エクセルで計算しました。面責値は2020年7月10日より前のデータでは、小数点以下の数字の記録がないため整数値のままで、それ以降の値は小数点以下第1位までの値を採用して入力しました。
(条件2). 検量線は切片を入力せずに線形近似で作成しました。得られた係数は有効数字6桁まで採用してセルに入力しました。
(条件3). 標準試料の理論値は、現在の対応と同様にカタログ掲載値ではなく一家に1枚周期表から計算した値を使いました。
(条件4). 標準試料の理論値は、水素も含めてすべて小数点以下第2位までの値を入力しました。
(条件5). 試料量と上記入力値以外の数値計算はセルに対する参照を含めた数式入力で行ない、ROUND関数等は用いずにツールバーのボタンを使って表示桁数を調整しています。
(条件6). インドメタシンの水素に対する理論値の登録が漏れていた分については、この値の有無による違いも調べました。
〜〜〜


ご参考までに、貴研究室よりご依頼のあった年の検量線と標準試料の分析結果について上の条件で再計算した結果を同封しております。条件1-4の影響で、水素に限らずソフトウェアから得た値とくらべて小数点以下第2位の値が変動している場合があることが確認できるかと思います。個々の分析結果については、再計算には当該試料の測定日におけるデイリーファクター用の標準試料の測定値が必要で、お手元にある情報だけでご自身で再計算していただくことはできません。従いまして、大変お手数ですがすでに報告した分析値についての再計算をご希望の場合は個別にお問い合わせいただけますでしょうか。
大変ご迷惑お掛けしておりまして申し訳ございませんが、まずはデータをご確認の上ご検討いただけましたら幸いです。どうぞよろしくお願い申し上げます。

↑↑↑↑↑以上↑↑↑↑↑

令和2年12月16日(水)付
令和2年12月18日(金)学内便発送

No. 52 炭素水素窒素分析 論文等における記載について 作成日:2020.11.2


下記TOPIC No51.でお知らせしましたとおり、2020年10月27日測定分以降、vario MICRO cubeの付属ソフトウェア画面に表示される面積値からエクセルで検量線の作成と分析値の算出を行なった結果を報告させていただいております。
もしも論文等に装置名まで書く場合は、分析値の計算をエクセルで行なっている旨添えていただかないと、付属ソフトウェアから算出された値であると誤解を受けますのでくれぐれもご注意ください。

No. 51 炭素水素窒素分析 受託再開のお知らせ 作成日:2020.11.2


過日、当分析室のvario MICRO cubeのソフトウェアに関して種々の問題点をご報告させていただきました。その後、検証および動作確認を行いました結果、以下のように対応することで正式に受託を再開することに致しました。

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・ ソフトウェアはVer3.11.1(OS:Windows 7)を使用します。
・ リークテストの圧力保持時間が切りの良い元の時間に戻りました。
・ 過去の測定ファイルを開いた際、面積値が異なって表示される、同じ測定データを使ってデイリーファクターの再計算を行なうと分析値が変化したりする、という問題が起きないことを確かめました。
・ 測定途中でソフトウェアがフリーズしないように、定期的にOSを再インストール致します。
・ Communication Brokenという原因不明のメッセージが表示される問題は、ハードディスクのスリープ設定を変更し、帰宅時はモニターのみ切るように対処することで解決しました。
・ 各元素の含有率の理論値について、計測ソフトウェアを用いた際に入力値とは異なる値が表示される問題があったため、今後計測ソフトウェアは面積値を得るためだけに用い、検量線の作成および分析値の計算はエクセル上で算出した結果を報告致します。過去の報告値についての検証も、この方針に従って進めます。
・ ソフトウェアから出力される面積値等のリストと、エクセル上における計算過程を記載した書類を添付して化学教室の名入れ報告書に記載したものを報告書としてお渡し致します。
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情報提供されていないため検出器からの信号値からピーク面積値を求める方法がわからないという問題は残りますが、それ以外は解消するものと考えております。
長期にわたり、ご迷惑ご不便をお掛けしまして大変申し訳ございませんでした。

今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。


以上

2020年10月27日付
2020年10月30日学内便発送

No. 50 vario MICRO cubeトラブルに関するご報告 作成日:2020.7.17


今年5月の半ば以降約2ヶ月もの間、炭素水素窒素同時分析の受託を停止しなければならない状況になり、利用者の皆様にはご不便をお掛けしまして大変申し訳ございませんでした。具体的にどのようなトラブルや問題点があり、どのように対応を進めてきたかということと、現在の状況について以下ご報告致します。

< 当分析室における装置制御用PCのOSおよびソフトウェアのversion使用状況 >

2015.3.25.(装置購入時)~2019.4.9. :Windows 7、ver. 3.1.11
2019.4.9.~ 2020.5.18. :Windows 7、ver. 4.0.15 (上記ver3.1.11から上書きアップデート)
2020.7.6.~ :Windows 10、ver. 4.0.15 (上記ver3.1.11から上書きアップデート)

< I. 検量線に関する報告 >

(1) インドメタシンの水素値登録漏れ
該当期間:購入当初~2020.5.18

標準試料の理論値の登録を行った坂本のミスです。炭素、水素、窒素は独立に検出、計算されるので、炭素と水素の検量線には影響がないが、水素の検量線の係数が以下のように異なっていたことがわかりました。結果としての分析値に変化がない場合がほとんどであるが、影響は試料量と面積値がともに小さい場合に大きく、0.01~0.03 %のずれが生じるケースが見つかっています。個別調査を進め、報告済みの分析値に相違が出ることが判明した依頼者にはこちらからご連絡致します。
現在はインドメタシンの水素値を含めてすべての登録値を改めて確認した状態で分析しています。

水素値登録なしの場合(ver. 4): a = –5.071204 x 10–4、b = 1.074695 x 10–5
水素値登録ありの場合(ver. 4): a = –4.835045 x 10–4、1.074590 x 10–5
(y = a + b x、y: 水素の質量/mg、x: ピーク面積値)

2017年度以前の検量線データについては今後検証し、改めてご報告致します。

(2) 同一の測定データから表示される面積値と検量線係数の、ソフトウェアアップデート前後における差異(水素についてはともにインドメタシンの水素登録なしの場合での比較)
該当期間:2018.4.12.測定の検量線用データについて。2020.5.18まで使用しました。

報告済の分析値に影響がない場合がほとんどですが、面積値が変化した場合に0.01 %のずれが生じるケースが見つかっています。個別調査を進め、報告済みの分析値に相違が出ることが判明した依頼者にはこちらからご連絡致します。

2018.4. ~2019.4. (ver. 3使用) :
窒素 a = 2.168832 x 10–3、b = 2.636205 x 10–5
炭素 a = 4.102692 x 10–3、b = 3.718602 x 10–5
水素 a = -5.070441 x 10–4、b = 1.074694 x 10–5

2019.4.10~2020.5.18(ver. 4にアップデート) :
窒素 a = 2.168753 x 10–3、b = 2.636206 x 10–5
炭素 a = 4.102451 x 10–3、b = 3.718603 x 10–5
水素 a = -5.071204 x 10–4、b = 1.074695 x 10–5

(y = a + b x、y: 各元素の質量/mg、x: ピーク面積値)

< II. その他ソフトウェア動作に関する報告 >

(1) 後日再計算を行なうことによる表示分析値等の変動
該当期間:すべてのデータではないようです。このような挙動を確実にとらえたのは2020.1.7.でした。

再計算操作のみで分析値が0.01 %ずれるケースが見つかっています。PC更新後の現在でも起きることを確認しています。暫定的な対応として後日再計算は行わず、測定終了直後に計算して保存した結果を正式な報告値と致します。

(2) 標準試料の登録値が検量線作成時にそのまま反映されていないことについて
該当期間:すべて

たとえば標準試料登録を行っているアンチピリンの理論値(=登録値)は、C, 70.19; H, 6.43; N, 14.88 %であるが、7桁表示した場合に分析結果表示画面に表示されるのは、C=70.1900024, H=6.4299998, N=14.8800001であり、これが計算に使われています。理由は不明です。

(3) 熱伝導度検出器(TCD)からの信号値から面積値を計算する方法

メーカー側は現時点で公開していません。情報提供を依頼しています。

(4) Communication broken、Watching dog error等の不審なメッセージ
該当期間:不明(調査中)~

分析が始められないなどのトラブルはありませんでしたが、ver. 3では見た記憶がなく、気がかりでした。2020.7.6のPC更新等の作業以降もCommunication brokenが現れることがわかっています。

(5) リークテスト時の圧力保持時間
該当期間:2019.4.9~現在

ver. 4にアップデートしたところ、リークテストの圧力保持時間が112sなど半端な数字で、切りのよい数字だったver.3と様子が異なるので気になっていました。2020.7.6. 以降の新しいPC上でも同様でした。これまでにも何度かメーカー日本支社に問い合わせてきましたが、今回ドイツ本社に確認していただけました。設定の変更方法について説明を受けました。

(6) 分析の途中でデータの印刷をするとフリーズして保存していない部分のデータが消えてしまう。
該当期間:ver. 3使用中の2018年くらいから。最初からではありませんでした。

このことをメーカー日本支社に相談した際に、他に新しいソフトを入れたりしていないか聞かれました。心当たりがなかったため、ver. 4へのアップデートを勧められ、そのように対応した経緯があります。ver. 4で起きない問題かどうかは確認していません。(= 一つの分析シーケンスが終わるまでは印刷しないようにしています。)

⇨ 新しいPCとver. 4で主な問題が解決していないことも確かめたため、時期をみて早いうちにver.3に再び戻す作業を行います。

< III. ハードウェアに関する報告 >

(1) ヘリウム流量表示値低下。
該当期間:年度始めくらいから~2020.7.6.

He流量表示値が少しずつ下がり続け195~200 mL/minくらいであるはずのところ186 mL/min程度と低い値が表示されるようになっていました。検出システム内のマスフローコントローラーの不調が原因として疑われましたが、流量に問題がなく、表示の経時変化によるずれであると確認しました。

(2) 酸素ガスのレギュレータ1次圧バルブが一定以上動かなくなっていたこと。
該当期間:いつごろからか記憶が定かでありませんが、1~2年前くらい?~2020.7.6.

レギュレータの交換で解決しました。スタンバイ時の酸素流量も下がっていた(通常10 mL/min程度のところ6 mL/minくらいまで)ので調整していただきました。窒素のブランク値に影響する可能性があるとのこと。

____でマークした項目は未解決で、検証および情報収集を引き続き行います。
____でマークした項目は解決済です。

上記のように、問題点を残した状況であることをご承知の上で急ぎ分析を依頼される方の分析依頼は受託させていただきます。

ご検討のほどよろしくお願い申し上げます。


以上