構造化学特論 2016年度
内容：
「構造化学」（教養課程）で学んだ内容をさらに深く学ぶために、発展的な話をしたいと思います。板書による講義形式です。物理学、化学について深く考えたい意欲的な学生の参加を歓迎します。講義クラスの人のみでなく、B1以上の上級生の参加も歓迎します。
1. 解析力学 速習 （半日で解析力学を網羅する特別講座です）
Lagrange形式、Hamilton形式を説明し、正準変換の本質を理解する。Hamilton-Jacobi方程式、経路積分の考え方を基にSchrodinger方程式を導く。力学の美しさに感動できるのでは！？
2. 相対論的電磁気学 （新ネタ）
Maxwell方程式を前提として、解析力学と特殊相対論を用いて電磁場の正準形式について議論します。電磁気学と解析力学を組み合わせた理論体系に興味がある人は感動できると思います。
3. 量子化学
構造化学では、二原子分子の分子軌道論について勉強しました。別なアプローチとして原子価結合法を説明し、配置間相互作用を議論します。また、Legendre関数が関わる静電相互作用として、結晶場の議論、多重極展開の議論をします。
4. 相対論的量子力学 （新ネタ）
構造化学では、水素原子（中心力場）のシュレディンガー方程式を解きました。これの相対論版を議論します。まず、Dirac方程式を導き、エネルギーを調べます。電磁場中の電子の相対論的運動からスピン軌道相互作用を導きます。導入のために、Pauli行列、交換関係について知っておいて欲しいので、予習問題を解いておいてください。解答
日時およびカリキュラム： @理学部化学本館2階講義室
2017/1/30月 13:00 - 18:00 解析力学 速習
2017/1/31火 13:00 - 18:00 相対論的電磁気学
2017/2/2 木 13:00 - 18:00 量子化学
2017/3/8 水 13:00 - 18:00 相対論的量子力学
シラバス
Chap. 1: 解析力学 速習
・Euler-Lagrange方程式の導出
・なぜL=T-Uなのか
・ルジャンドル変換
・ハミルトンの正準方程式
・4種類の正準変換の導出
・ハミルトンヤコビ方程式
・古典論の限界について
・経路積分によるシュレディンガー方程式の導出
Chap. 2: 相対論的電磁気学 （新ネタ）
・ガリレイ変換
・ローレンツ変換
・4次元電磁ポテンシャル
・Maxwell方程式のテンソル表現
・電磁場のLagrange形式
・電磁場のHamilton形式
Chap. 3: 量子化学
・原子価結合法（Heitler-London法）による水素分子(H2)の記述
・なぜFeは強磁性になるか
・原子価結合法と分子軌道法の違い
・配置間相互作用による分子軌道の補正
・Van der Waals結合はなぜr-6の関数形となるか
・3d遷移金属周囲の結晶場エネルギー分裂10Dqの導出
・ルジャンドル展開による静電ポテンシャルの多重極展開
・グラムシュミット法とルジャンドル多項式の関係
Chap. 4: 相対論的量子力学 （新ネタ）
・Klein-Gordon方程式
・Dirac方程式の導出
・自由粒子に対するエネルギー、波動関数
・スピン角運動量の導入
・電磁場中でのDirac方程式
・Zeeman効果
・スピン軌道相互作用
・Rashba効果
・水素原子の相対論的エネルギー
参考図書：
Chap.1
解析力学・量子論 須藤 靖 (著), 東京大学出版会
解析力学 久保 謙一 (著), 裳華房
Chap.2
理論電磁気学 砂川重信 (著), 紀伊國屋書店
電磁力学 (現代物理学叢書) 牟田泰三 (著), 岩波書店
Chap.3
量子化学 近藤保, 真船文隆 (著) , 裳華房
磁気工学の基礎I―磁気の物理 太田恵造 (著) , 共立出版
Chap.4
量子力学(II) 小出昭一郎 (著), 裳華房
現代の量子力学(下) J.J. Sakurai (著), 吉岡書店
構造化学の講義クラスの人のみでなく、B1以上の上級生の参加も歓迎します。前提は、構造化学（教養課程）と電磁気学（教養課程）の内容のみとします。参考書などについても紹介します。言うまでもありませんが、成績とは一切関係ありません。興味のある人は、気軽にメールしてください。(岡林潤： jun あっと chem.s.u-tokyo.ac.jp)
2015度の構造化学特論
2014度の構造化学特論
今年度の構造化学（教養課程）
