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化学物質の生産方法

生産方法

化学物質の生産方法は、バッチ法とフロー法に大きくわけることができます。バッチ法は、フラスコでの反応でイメージできます。反応物を容器に加え、反応を行い、停止操作をした後にできたもの(生成物)を取り出します。これに対し、フロー法では反応器の内部を一方方向に流通させるため、反応物の投入と、生成物の取り出しが同時に起こります。フロー法はバッチ法に比べてエネルギー生産性が高く、かつ、廃棄物の排出も少なく抑えることができます。そのため、省エネルギー、省廃棄物など持続可能なものづくりの手法として期待されており、2011年には、米食品医薬品局(FDA)でも今後25年でバッチ法から連続フロー法に替わるべきだと提言しています。 そもそもフロー法は、自動車や電化製品から食品まで、物質生産の主流です。しかし、化学品に関しては、これまで基礎化学品の大量生産には用いられてきましたが、合成が難しく、複雑な構造を有する化合物の合成に用いることは困難であると考えられてきました。


フロー精密合成

私たちは、「フロー精密合成」を提唱しています。フロー精密合成とは東京大学 大学院理学系研究科 小林修 教授が研究開発された、有機合成手法です。 私たちの考えでは、フロー法の利点を活かしつつ、いくつかのフロー反応を組合せて、連結フローシステムを構築することで、構造的に複雑な化合物を合成することも可能です。 その実証結果が2015年4月16日付けの「ネイチャー」に掲載されました。本合成手法は、4本のカラムを用い不斉炭素-炭素結合生成反応を含む8段階の反応を連続的に一気に行うものであり、不均一系触媒のみを用いることで医薬品の連続フロー法のみによる精密合成を実現した初めての例です。

低価格農薬を実現する 革新的生産プロセスの開発

革新的生産プロセスの開発
私たちは、「フロー精密合成」を農薬の安価な提供に役立てます。 「フロー精密合成」を駆使すれば、生産コスト、設備コスト、在庫管理コストに大幅な圧縮効果が期待できます。 これをベースにして、
  • 農家の生産力強化
  • 幅広い農薬、高機能農薬の提供
  • 日本の化学物質製造力の復興
を実証します。 その先には、オンデマンド・オンサイト農薬製造による環境に調和した、安心、安全な次世代の農業を切り開くことができると考えています。