毎金曜日4限 14:50-16:20 523教室
講義日程: 10/11, 18, 25, 11/1, 8, 15, 29, 12/6, 13, 20, 1/10, 24, 27 (13回)
期末試験は、2014年2月10日(月)2限です。(過去問ありませんよ!)
講義の目的:
・水素原子の電子状態について、量子論に基づいて理解する (1-6章)
・結合が何故生じるかを量子論に基づいて理解する (7-10章)
結論:
量子論の意義、有効核電荷や分子軌道法による化学結合についての深い理解に、少しでも感動してくれたらOKです。(2014/1/27)
(コメント) 演習問題の解答について、各自でオリジナルな解答集ノートを作っておくと、将来の役に立つと思います。
(コメント2) 講義で紹介した小説2つは、講義同様に、「本質は何か」を考えることが本質で紹介しました!
第13回(最終回) 2014/1/27
・有効核電荷とイオン化エネルギーの復習をしました。
・二原子分子の議論を拡張して、ブタジエンとシクロブタジエンの固有エネルギーを分子軌道法で計算し、構造安定性を議論しました。
・分子の構造と双極子モーメントの関係について調べました。
PS. H2Oがなぜ折れ曲がるかを分子軌道に基づいて、ウォルシュダイアグラムを説明までできなかったことが、私のこころ残りなところです。(構造化学のカリキュラム外ですが...) 後日、プリントをこのページにアップロードしますので、意欲的な人は勉強しておいてください。
PS2. 紹介した演習書は 基礎 物理学演習(1) (サイエンス社)。
また、次年度の「物性化学」で使う教科書 の半分ぐらいは既に学んでいます。
(連絡) 講義後に質問してくれた人で、講義ノート(A4紙)を忘れていった人がいます。連絡ください!
第12回 2014/1/24
・水素原子のシュレディンガー方程式の解法を詳しく行った。球面調和関数をさらに変数分離して議論した。そして、角運動量の固有値についてl(l+1)が導出される方針を説明した。
・Zeeman効果について説明した。
・シュテルン・ゲルラッハの実験を説明した。
・角運動量とスピンについて説明した。そして、電子スピンが1/2であることを(一応)説明した。
PS. 水素原子のシュレディンガ―方程式の動径方向の方程式には、ラゲールの陪多項式が出てきますが、詳細は扱っていません。演習問題[20-22]を理解することで十分です。
第11回 2014/1/10
・調和振動子のシュレディンガー方程式のエネルギー固有値、波動関数を求めた。
・分子振動を表わす赤外スペクトルから力の定数を求めた。
・剛体回転子のエネルギー準位を議論した。マイクロ波スペクトルから慣性モーメント、結合長を求めた。
演習レポート第6回 1/10出題、1/24提出
解答 1/27更新
レポート第6回の「解法のヒント」
[41] 誘導に従って行えばよい。4. の結果はテキストのエネルギー固有値と同じになる。エルミート多項式については、量子力学のどんな本にも大体は載っている。
[42] 計算がややこしいが、変分法の定義通りに行う。[29]を参考に。結果はシンプルな値となる。[16]の問題も参考にせよ。
[43] 電場により-qeの力が働くので、調和振動子のエネルギーがずれることを考慮せよ。
[44] 4. は、2886=(E1-E0)/hc, 5668=(E2-E0)/hc を連立して、x_eとnu_0を求める。
[45] 計算するのみ。
[46] 特になし
[47] 特になし
PS. 進路相談についても記載してくれれば、お答えします。
第10回 2013/12/20
・異核二原子分子の分子軌道の成り立ち、COでの分子軌道間の反発を説明した。
・極性の生じる理由を分子軌道に基づいて説明し、LiHとHFではHの極性が異なることを分子軌道から説明した。
・分子軌道の形成でエネルギーが安定化する理由を説明した。
レポート問題[34]に表記ミスがありました。S=1ではなく、S=0です。ヒュッケル近似です。修正をお願いします。
演習レポート第5回 12/20出題、1/10提出
解答 1/19更新
質問と回答 1/19更新
レポート第5回の「解法のヒント」
[31] 分子軌道を描いて、電子を詰めていき、定義通りに計算するとよい。
[32] 分子軌道を描いて、電子を詰めていき、最外殻の電子対を調べるとよい。
[33] 分子軌道を描いて、電荷の方よりを調べればよい。3原子のものは、未だ扱っていないので、できれば考える程度で構わない。
[34] 講義ノートの通りである。ミスプリに注意。(スミマセン)
[35] n=0とn=∞の時の準位の間隔が幅になる。
[36] テキストにある波動関数を使って、直交性を示す。
[37] 1. は前回の演習の遮蔽定数を用いよ。2.以降は、題意に沿えばできると思う。
[38] 1. 2. は講義ノートにあるはず。3.は分極の割合を計算する。
[39] そのまま
[40] そのまま
第9回 2013/12/13
・s軌道、p軌道の分子軌道の形成について説明した。(gerade, ungerade)
・O2, B2, C2, N2の分子軌道を議論した。その結果、O2は常磁性となるが、N2は磁性を示さないことを説明した。
・結合次数を定義し、結合の強さを比較した。
・LiH, HF, COの分子軌道について議論した。
第8回 2013/12/6
・変分法について説明した。
・水素分子イオンのエネルギー、波動関数を求めた。
・クーロン積分、共鳴積分について議論した。
・結合性軌道、反結合性軌道について説明した。
・Heはなぜ分子にならないかを説明した。
レポート問題[24]に表記ミスがありました。波動関数は、(a/π)1/4ではなく、(2a/π)1/4です。修正をお願いします。
レポート問題[28]に表記ミスがありました。「ポテンシャル極性」ではなく、「ポテンシャル曲線」です。タイプミスでした。
演習レポート第4回 12/6出題、12/13提出
解答 12/18更新
質問と回答 12/19更新
レポート第4回の「解法のヒント」
[24] xとx2の期待値を計算する。また、pとp2の期待値を計算する。微分作用素の位置に注意せよ。[18]の結果を使って、計算すると、 結果はシンプルな値になる。次元にも注意せよ。
[25] 定義通りに、波動関数で挟んで積分をする。運動エネルギーは2階微分が必要。極座標表示の動径方向積分ではr2に注意。積分公式も用いよ。 ボーア半径a0の表式を書き下すと 結果はシンプルになる。
[26] 長文だが、規則通りにやればいい。s(H)=0, s(He)=1/3, s(Li)=1*2=2, s(Be)=1/3*1+1*2=7/3, .... 進めていくとよい。周期表を書いて、その下に値を書いていくと判りやすい。
[27] この場合、追加された電子に対する遮蔽定数は、s(1)=1/3, s(2)=1*2=2, ... これも、周期表を書いて、その下に値を書いていくと判りやすい。
[28] 微分してゼロになる値を求めれば、平衡位置が求まる。また、結合エネルギーを求める際には、U(∞)はゼロである。(物理的に明らか?)
[29] 1. は、a-3の項のみになる。2. の計算は少し面倒であるが、進めるとa-1, a-2の項のみになるハズ。3. は題意のように、aで微分して安定点を求める。 その値の物理的意味に驚く。
[30] 実は、簡単かもしれない。講義の内容で重なり積分S=0と置くと、計算できる。次回につながるので、よく理解しておきましょう。
第7回 2013/11/29
・多電子系の水素類似原子の取り扱いについて説明した。
・独立粒子近似を使って、有効核電荷を導入した。
・周期律について説明した。
・LCAOについて説明した。
第6回 2013/11/15
・水素原子のエネルギーを波動関数を使って求めた。
・不確定性原理と交換関係について説明した。
・演習問題の解説を行った。
(コメント) 質問がありましたので、回答します。
井戸型ポテンシャル(ブタジエンなどのパイ共役系も)では、量子化されると、n=1, 2, 3 ...とn=0は含みません。これは、n=0だと、 波動関数がゼロになってしまい、意味をなさないからです。一方、円周上の電子(ベンゼンなど)の場合は、n=0も含みます。エネルギー固有値はゼロですが、 波動関数が一定値になるので、排除できません。
演習レポート第3回 11/15出題、11/29提出
解答
質問と回答
波動関数の "節" を実験的に見た論文 解説
第5回 2013/11/8
・水素原子の波動関数を求め、1s, 2s, 2p, 3d軌道の軌道の形と関数形を調べた。
・動径分布関数を定義し、電子の存在確率を距離の関数として表わすことを議論した。
第4回 2013/11/1
・3次元の箱の中の粒子についてのシュレディンガー方程式の解について調べた。
・縮退について調べた。
・極座標表示での微分演算子を紹介し、微小体積を考え、変換にはヤコビアンが必要になることを説明した。
・水素原子のシュレディンガー方程式を導き、変数分離を用いて、解の性質を調べた。
・3つの量子数で状態が指定されることを調べた。
演習レポート第2回 11/1出題、11/8提出
解答
質問と回答
第3回 2013/10/25
・ブタジエン、ヘキサトリエンでの光吸収スペクトルとシュレディンガー方程式の解について調べた。
・波動関数の直交性について調べた。
・期待値の求め方を議論した。
第2回 2013/10/18
・弦の運動方程式から波動方程式を導いた。変数分離を使って、解を求めた。
・ドブロイの式と波動方程式を使ってシュレディンガー方程式を導いた。そして、ハミルトニアンを定義した。
・物理量は演算子であること、波動関数の2乗が確率に相当することを論じた。規格化まで説明した。
・井戸型ポテンシャル中のシュレディンガー方程式を解き、エネルギー、波動関数を求めた。
演習レポート第1回 10/18出題、10/25提出
解答
質問と回答
第1回 2013/10/11
・水素原子の線スペクトルを説明するには、古典力学ではできず、ボーアの量子化条件が必要であることを論じた。
・光の粒子性と波動性について論じた。
・電子の粒子性と波動性についても論じた。ドブロイ波長を導入した。
参考書紹介
・量子化学―基礎からのアプローチ 真船 文隆 化学同人 (2008/01)
コメント: 量子化学の基礎が学べる素晴らしい本です。感動します。本講義の教科書とします。
・物理化学―分子論的アプローチ〈上〉 マッカーリ・サイモン 東京化学同人 (1999/12)
コメント: 量子化学をしっかり理解したい人にお勧め。判りやすい。
・実践量子化学入門―分子軌道法で化学反応が見える CD-ROM付平山 令明 ブルーバックス (2002/7)
コメント: PCを使って量子化学を楽しんでみたい人にお勧め。CD付き。構造化学の後半の理解に役立ちます。
参考ページ
Movie1 The Origin of Quantum Mechanics (feat. Neil Turok)
Movie2 Quantum Mechanics: Animation explaining quantum physics.
Movie3 Double Slit Experiment
Movie4 Heisenberg's Uncertainty Principle Explained
Movie8 Electron configuration