オレフィンのカルボメタル化反応を機軸とした新合成反応


有機亜鉛試薬のエナンチオ選択的付加反応


研究ハイライト 

 これまでの研究でカルボメタル化試剤として下に示す光学活性有機亜鉛試薬および亜鉛化ヒドラゾンを開発し,オレフィン類のエナンチオ選択的カルボメタル化反応を初めて達成している.ここで得られたエナンチオ面選択の知見を基に従来困難であったイミン類のエナンチオ選択的求核付加反応を実現した.

 実験研究と並行して大規模な量子力学計算を駆使し,これらの反応剤の反応性,選択性などの諸問題への理論的検討を加えた.化合物の会合状態と反応性の相関に着目して研究を行った結果これまで不明だった反応機構を明らかにした.

J. Am. Chem. Soc. 18, 8489-8490 (1996)

J. Org. Chem. 62, 792-793 (1997)


オレフィニックアルドール反応


研究ハイライト 

 我々は新たな炭素ー炭素結合生成を伴う有機金属化合物の効率的合成反応としてオレフィンカルボメタル化反応に注目して研究を行っている.今回,亜鉛対カチオンを持つヒドラゾンアニオン種を用いることでこれまで熱力学的に不可能とされてきた金属エノラート活性種の単純オレフィンへの付加反応「オレフィニックアルドール反応」が可能となることを新たに見出した.本反応はエチレンおよびスチレンなどのαーオレフィンのみでなく,ビニルグリニャール試薬などのビニル金属化合物の二重結合に対しても付加反応が進行する.これによって同一分子内に求核部位と求電子部位を併せ持つ新奇な有機金属活性種の創製を達成した.また本活性種が多様な化学変換反応に応用可能なことを示し,オレフィン化学の新たな一面を開拓することが出来た.

J. Am. Chem. Soc., 119, 5457-5458 (1997)

Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 36, 2491-2493 (1997)

Tetrahedron Lett., 38, 7099-7102 (1997)


Masaharu Nakamura and Eiichi Nakamura, "Computational Studies on Diastereo- and Enantioselectivities of Allylmetalation of Cyclopropenone Acetals"

(1996年6月24-7月22日に行なわれた電子会議.Echet96(Electronic Conference on Heterocyclic Chemistry)の招待講演の内容.日本化学会の機関誌「化学と工業」1997年1月号P.13に説明が掲載されています.)