GPCRスクリーニング法

ルシフェラーゼは,遺伝子発現を定量解析するリポーターとして広範に応用されています.その利点を生かしつつ,タンパク質間相互作用のリアルタイム観察に応用が展開されています.我々は,Gタンパク質共役受容体(GPCRs)とβ-arrestinとの相互作用を指標とした,高感度かつハイスループットスクリーニング用細胞を開発しました.東洋紡績(株)が有しているコメツキムシ由来のルシフェラーゼ(ELuc)は,現在発光強度が最も強いルシフェラーゼの一つです.このELucを二分割し,GPCRのC末端にELucのC末側断片を連結した融合タンパク質を作製します.一方,ELucのN末側断片には,GPCRと相互用するβ-arrestinを融合させます.GPCRがリガンドと結合すると,細胞内でGPCR-β-arrestin相互作用が起こります.その結果、ELucのフラグメントが再構成し,発光強度を回復します.

GPCRの一つであるsomatostatin receptorを用いて, HEK293細胞にプローブを発現させました.96穴プレートに細胞をまき,24時間後にsomatostatin刺激を加えルミノアッセイを行うと,somatostatin濃度依存的に大きな発光シグナルの上昇を観測することができました.このシグナル変化は,somatostatin非添加時に較べて約100倍の大きなシグナル変化です.さらに時間依存性を調べると,somatostatin刺激後10〜15分までは急激な発光シグナルな上昇し極大応答を示すことが解かりました.この応答は,細胞刺激からわずか10分でアッセイできることを示しており,薬物の高感度ハイスループットスクリーニング系に極めて有力な細胞です.さらに発光強度が極めて強いことから,単一細胞レベルでGPCR-β-arrestin相互作用をリアルタイム観察することが可能となりました.これまでにβ2-adrenergic receptor,aperin receptor, cholecystokinin B receptorなど10種類以上のプローブを連結したGPCRスクリーニング用細胞を樹立しています.今後医薬品開発の分析ツールとして期待されています.

1.
N. Misawa, A. K. M. Kafi, M. Hattori, K. Miura, K. Masuda, T. Ozawa, Rapid and High-Sensitivity Cell-Based Assays of Protein−Protein Interactions Using Split Click Beetle Luciferase Complementation: An Approach to the Study of G-Protein-Coupled Receptors. Anal. Chem. 82, 2552–2560 (2010).
DOI:10.1021/ac100104q

screening of gpcr