godalab

研究概要

合田研究室は、ルイ・パスツールの名言「Chance (serendipity) favors the prepared mind(偶然は心の準備が出来ている者を好む)」を実現する技術を開発しています。具体的には、物理学・化学的なアプローチ(特に光量子科学を基盤とする分子イメージング法と分子分光法にナノテクノロジー、マイクロ流体化学、人工知能を融合すること)で、生物学と医学におけるセレンディピティ(偶然の幸運な発見)を実現する技術「Serendipity-Enabling Technologies」の創出を行っています。それらの技術を用いることで、未知なる生命現象の発見、機構解明、応用展開を目指しています。物理学と化学を基軸とする一方で、理論、実験、計算的手法を最大限駆使し、分子生物学、電子工学、情報科学、生体医工学、応用数学、機械工学等の様々な異なる分野からの概念や手法を融合することで最適な研究開発を実施しています。また、合田研究室で獲得した技術や知見を用いて、グリーンイノベーション領域(バイオ燃料、バイオ素材、機能性食品など)及びライフイノベーション領域(がん検出、バイオ医薬品、再生医療など)への展開を行っています。Serendipity-Enabling Technologies」創出のグローバルイニチアチブは現在Serendipity Labにて実施中です。以下は現在合田研究室で行っている研究テーマです。

AI科学者の創出

2018年に合田研究室と共同研究者で開発したインテリジェント画像活性細胞選抜装置は、高速蛍光イメージングにマイクロ流体技術や深層学習などを融合することで、多種多様な細胞を毎秒1000個以上の速度で識別し、その解析結果に基づいて所望の細胞のリアルタイムな分取を可能とする一種のロボットです。合田研究室では、本技術を更に発展させ、機械学習における教師なし学習と強化学習を本技術に実装することで、未知な細胞の発見を効率的に行うことが可能な、人間的な認知能力を超えたAI科学者の創出を目指しています。

無標識分子分光と無標識分子イメージング

細胞のありのままの姿を理解するためには、生体分子を無標識に計測する手法が必要不可欠です。ラマン分光法は分子レベルの構造情報が無標識に得られる分析手法であるため、細胞研究のツールとして近年注目されています。合田研究室では、、最先端の光学技術を駆使することで、ラマン分光計測のスペクトル帯域、測定速度、検出感度を向上させてきました。また、開発した無標識細胞計測手法を生細胞の高速イメージングや大規模1細胞解析へと応用しています。それにより、細胞機能の機序解明、さらにはその増幅へとつなげることを目指しています。

量子生物学と量子生体工学

生物学は、古典物理学的モデルを生体システムに適用することで広く成功していますが、古典物理学では説明が不十分な生命現象も多数存在しています。例えば、光合成における葉緑体のエネルギー輸送はなぜ高効率なのか?渡り鳥はなぜ微弱な地磁気を感じることができるのか?脳はどのようにして莫大な量の情報を処理しているか?合田研究室では、生物における量子力学と古典力学の境界領域「メゾスコピックな世界」に注目することで、これらの問題を解明し、得られた知見によっていインスパイアされた量子生体模倣技術を創出しています。

第IV族光学デバイスの開発と生化学センシングへの展開

カーボン、シリコン、ゲルマニウムなどの第IV族半導体は、CMOS互換の製造方法と全誘電体環境により、オンチップ光学デバイス用の優れた低損失材料プラットフォームを提供します。第IV族半導体に特有の光学特性と優れたデバイス設計を融合することで、第IV族光学デバイスはオンチップ超高感度の生化学センシング・分光法を実現できると期待されます。合田研究室は、チップ上で光を増強、制御する第IV族光学デバイスを開発し、チップ上のナノスケールで生じる光と物質の強い相互作用を実証、評価、応用することを目指しています。

高スループット蛍光顕微鏡法

蛍光顕微鏡法は、生体組織内の特定の分子の分布を可視化、定量することができるため、生命科学に不可欠な方法です。しかしながら蛍光発光が弱いため画像の取得速度は遅く、適用範囲が制限されています。 合田研究室では、情報通信技術や機械学習を応用した高速蛍光イメージング法の開発を行っています。これにより、生体内のカルシウム信号伝達ダイナミクスの観察、自由行動する生物の4Dイメージング、イメージングフローサイトメトリーなどへの応用展開が可能となり、次世代の生命科学を開拓する強力なツールとなることが期待されます。

液滴マイクロ流体技術を用いた1細胞解析

細胞の画像や分光スペクトルを高速かつ大量に取得することにより、生物の正確な理解につながります。さらに、特定の機能を持つ細胞を集めてくることができれば、創薬やバイオ燃料の実用化など、新たな応用先が開けてきます。ここで、非常に小さくて弱い細胞を、高速かつダメージ無しで操作する必要があります。合田研究室では、マイクロサイズの液滴内に細胞を閉じ込めることによりダメージを減らし、マイクロ流路を用いて液滴操作を高速に行うことで、従来では達成できなかったイメージングや分光計測を用いた1細胞解析の実現を目指しています。

学生主導のイノベーション

偉大な発見というものは全く予期しないところから出てくることを、歴史は我々に教えてくれます。そこでは運が重要であるように思われますが、「予期しない」出来事を「計画的に」発見するためには好奇心、持続性、柔軟性、楽観主義、およびリスクテイクが必要です。合田研究室では、同僚とのブレーンストーミング及びディスカッションを通して、学生が自らアイデアを思い付くことを推奨しています。また、学生による研究プロジェクトをサポートするための適切なインフラやガイダンスを提供し、素晴らしいイノベーションへと繋げます。

ベンチャー事業化に向けた研究開発

現在、大学主体によるスタートアップ設立への動きが国内で広がりつつあります。日本政府やベンチャーキャピタリストは、国内の大学における研究室から誕生したスタートアップに多額の金を投資しています。このような多大な財政支援に加え、東京大学による研究者のためのスタートアップ研修を踏まえ、合田研究室では学生や博士研究員に自らの研究成果に基いて起業することを奨励しています。研究開発を単に論文だけで終わらせず、社会に還元させることが求められています。ご興味ある方は、近い将来の実用化や起業を目指して一緒に研究しましょう。