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二酸化チタン系透明導電体の開発

 液晶パネルに代表されるフラットパネルディスプレイや太陽電池などの光エレクトロニクスデバイスの基幹部品の一つに光を出し入れするための透明電極があります。現在、最も広く使われている材料は、スズドープ酸化インジウム(ITO)ですが、主成分であるインジウムには資源偏在の問題があり、光エレクトロニクスデバイスの急速な普及に伴って資源枯渇の可能性が指摘されています。また、デバイスの種類や構造によって、透明電極に求められる特性が異なるため、ITOだけですべての要求に答えることは容易ではありません。このため、新たな透明導電体の開発が求められています。

 私たちは2005年にアナターゼ型TiO2薄膜がNbやTaを添加することで、優れた透明導電性を示すことを発見しました(図1)。この材料は安価で無害なTiを主成分としており、化学的に極めて安定です。また、赤外線の透過率が高い、化合物半導体と屈性率が近いため界面光反射によるロスが抑制できる、といったユニークな特長を持つこともわかりました。一方で、ガラスのような実用的な基板上に抵抗率の低い多結晶薄膜を得ることは容易ではありませんでした。そこで、単結晶薄膜を用いた基礎的な物性評価の結果をフィードバックすることで、高性能な多結晶薄膜を得るための指針を明らかにしました。

 また、シード層という技術を用いることで、古くから知られた透明導電体であるSnO2を高性能化し、赤外光まで利用可能な太陽電池用の透明電極を開発しています。詳しくはこちらをご覧ください。
http://www.newkast.or.jp/innovation/labo/hasegawa_project.html

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図1. (左)作製したNbドープTiO2薄膜の写真。(右)NbドープTiO2エピタキシャル薄膜の抵抗率と温度の関係