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放射光電子分光を用いた電子状態解析

 遷移金属酸化物の多彩な電子物性は、これら物質の電子状態に基づいています。したがって、発現した新物性を理解するためには、電子状態を評価することが必要不可欠です。そこで私たちは、シンクロトロン放射光を光源とした光電子分光、X線吸収分光測定によりこれらの電子状態の解析を行っています。光電子分光は内殻準位と価電子帯の状態密度とを調べることができ、X線吸収分光は伝導帯の状態密度を調べられます。加えて、共鳴光電子分光測定を行うことで、共鳴元素の部分状態密度を選択的に測定することができます。

 図10は、Ti 2p -3d 共鳴光電子分光により測定したアナターゼ型Ti1-x Nbx O2薄膜の価電子帯スペクトルを示しています。酸素アニールにより、Ti 3d 状態に由来するフェルミ準位上の状態密度が減少し、約3.0 eVの準位が増大する様子が見て取れます。この結果は酸素アニールによるキャリア濃度減少の結果と一致しており、Ti1-x Nbx O2薄膜のキャリア生成が格子間酸素に強く依存することを明らかにしました。

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図10.Ti1-x Nbx O2薄膜の価電子帯スペクトル.(a)価電子帯全体,(b)フェルミ準位近傍.(赤線)酸素アニール前,(黒線)酸素アニール後.