Hasegawa Group Hasegawa Group
日本語 / English

ペロブスカイト型酸化物薄膜の新機能の探索

 銅酸化物の高温超伝導やマンガン酸化物の巨大磁気抵抗効果のように、強相関酸化物は強いクーロン相互作用や電荷・スピン・軌道の自由度に起因する特異な電子機能を示します。当研究室では、新しい機能を持った強相関酸化物薄膜の探索を行っています。

 ペロブスカイト型マンガン酸化物La0.7Sr0.3MnO3 (LSMO)は室温以上のキュリー温度を持ち、ハーフメタル特性(伝導電子のスピンの向きがすべて揃っている)を示すことから、スピントロニクス用電極材料として注目されています。特に、NdGaO3(NGO)(110)基板上に堆積させたLa0.7Sr0.3MnO3は面内に一軸磁気異方性を持つため、平面型スピントロニクス素子の電極として有用です。私たちは、NGO (110)基板上にMnサイトを少量Ruで置換したLSMOを堆積させることで、金属伝導性・面内磁気異方性を保ったまま保磁力を増大させることに成功しました。

 図9に100 Kで測定したNGO(110)基板上に堆積させたLa0.7Sr0.3Mn1-y Ruy O3 (y = 0, 0.05, 0.1)薄膜の磁気ヒステリシス曲線を示します。実線と点線はそれぞれ容易軸([11(-)0]NGO)と困難軸([001]NGO)に対応します。Ruがないとき容易軸の保磁力は困難軸より小さいのですが、Ruが置換されるにつれて容易軸と困難軸の保磁力の大きさが逆転し保磁力比が上昇します。このことは、Mn, Ru間に働く反強磁性交換相互作用がNGO基板による一軸格子歪みにより増大したためと考えられます。

img

図9.100 Kで測定したNGO (110)基板上La0.7Sr0.3Mn1-y Ruy O3 (y = 0, 0.05, 0.1)薄膜の磁気ヒステリシス曲線