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磁性誘電体の開発

 強磁性体や強誘電体は、外部から電場や磁場を印可していない状態でもマクロな磁化(自発磁化)や電気双極子(自発分極)を示すことから、記憶素子やスイッチなどのデバイスに利用されています。多くの物質では、磁気的な性質と誘電的な性質は独立で、磁場と電場によってそれぞれを制御する必要があります。ところが、10年ほど前から磁気的な性質と誘電的な性質が強く結合した物質が次々と発見・開発されるようになりました。このような物質では、磁場による自発分極の制御や電場による自発磁化の制御(電気磁気効果)や、磁場による誘電率の制御(磁気誘電効果)が可能になることから、新たなエレクトロニクスデバイス材料として注目されています。

 私たちは、このような材料に注目して、磁性元素を含む誘電体の研究を行なっています。例えば、図7に示すのは、(110)-層状ペロブスカイト型Ln2Ti2O7という強誘電体です(Lnは希土類元素を表します)。希土類元素として、多くのf 電子を含むSmやGdを用いることで、磁気的な相互作用が期待できるのですが、パイロクロア構造という常誘電体が熱力学的安定なので、(110)-層状ペロブスカイト型構造のGd2Ti2O7の特性は知られていませんでした。我々は、ペロブスカイト酸化物の単結晶基板を使うことで (110)-層状ペロブスカイト型Gd2Ti2O7の単層薄膜をエピタキシャル成長させることに成功しました。残念ながら、誘電的な性質と磁気的な性質の結合は非常に弱かったのですが、他の(110)-層状ペロブスカイト型Ln2Ti2O7と同様に室温で強誘電性を示すことを確認しました。

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図7. (110)-層状ペロブスカイト型Ln2Ti2O7の結晶構造と作製したエピタキシャル薄膜断面の透過電子顕微鏡写真