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強誘電体と光の相互作用

 太陽電池や光センサーは、私たちの生活に欠かせない光エレクトロニクスデバイスです。これらのデバイスでは一般に、半導体のp-n 接合や半導体と金属のショットキー接合を利用しています。一方、異なる原理に基づく光応答素子として、強誘電体の光起電力があります。これは、強誘電体の自発分極が物質内部や電極界面、ドメイン境界などに作る非対称なポテンシャル勾配によって、光励起された電子と正孔が空間的に分離されることによっておこる現象で、①強誘電体を電極で挟んだだけの簡単な構造、②外部電場によって自発分極の向きを変えると、起電力や光電流の正負を制御できる、といったp-n 接合を利用したデバイスにはない特徴があります。

 一方で、一般的な室温強誘電体はバンドギャップが大きいため、薄膜デバイスは紫外光でしか光励起できないという制限があります。緑~青色光で励起可能な強誘電体としては、BiFeO3という物質が知られていますが、黄色や赤色の光で動作する薄膜デバイスは知られていません。私たちは、バンドギャップがより小さな強誘電体として、六方晶YMnO3という物質に注目して光応答を調べています(図8)。

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図8.強誘電体の光起電力効果のモデル図