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   HF-2000 簡易マニュアル(TEM version)
                                  1999.9.30
                              (2003.5.14一部改訂)  
                          
                            

◎はじめに
(1) 電顕室に来たら、まず真空度等、電顕に異常がないことを確認してください。
・ column: 2×10-5 Pa以下
・ IP1 (blue pen): 50mV 以下
・ IP2: 1.0×10-3 Pa以下
     異常を発見した場合には、メンテナンス係まで。
 (2)前の人がCryo-EMをやった場合は、IP3がOFFになっていて、IP3・Vac Errorの
  赤ランプが点灯していて、HV3が開いた状態になっているはずです。
  初心者の人や、不安のある人は、以下の作業は行わず、メンテナンス係まで声をかけ
  てください。 
   この場合は
     IP3    Power ON
                     ↓
         HV ON
     とした後、HV3を5回転回して閉めてください。
   その後、RESETを押すとErrorランプが消えて、さらにMANUを押すと電顕が使
   える状態になります。
 (3)次にACD(Anti Contamination Device)に液体N2を入れます。
   まず後ろのACDに入れて、次に前のACDに入れます。
   ACDに液体N2を入れてから、冷えきるまでに約2時間かかります。
   前のACDには1〜2時間に1回は液体N2を補充。
  (4) ログノートに記入する。
    画面上のフィルム枚数とログノートのフィルム枚数を確認してください。違ってい
     れば、遮光板が送られていない可能性があります。
◎試料挿入
  ホルダーは準備室のPumping Stationにあります。
 (1)ホルダーをPumping Stationから出すときは,
         V1のValveを閉じる。
        ↓ 
      ホルダーを引き抜く。
        ↓
     ダミー挿入。
        ↓
     Valveを開ける。 
 (2)出したホルダーはステンレスバットの中の台の上に置く。
   ホルダーを扱うときは
   ・ホルダーの先端をぶつけないように。
   ・鏡筒の中に入る部分(Oリングより先)には手を触れないように注意。
   ・O リングより先をよく眺めて、汚染されていれば、エタノールと綿棒を使ってふき
    とってください。
 (3)ピンセットを使って、ホルダーに試料をのせる。 
 (4)純N2Bのボンベ開ける。(鏡体左後)
 (5)GVが閉じてあること、真空度が良い(columnの真空度が5×10-6より高い)ことを
   確認した後、ホルダーを鏡筒に挿入。(先端をぶつけないように)
 (6)純N2 Bのボンベ閉める(ニードルバルブの扱いに注意)。 

◎ビームを出す(Blue Penの真空度が50 mV以下のときのみ、ビームを出して良い。)
 (1)GVを開く(最初に3回開け閉め:GV付近のout gas )
 (2)フラッシング(tipの先端を加熱してout gas)
     IF2を押す。
      ↓
     FLASHを押す。
      I 1電流表示が0.2 mA未満のときはFLASHキーのLEDが消えてから少し待
      って再度FLASH押す。
 (3)高圧印加
   I1電流表示が0.2 mA以上になったら、FLASH消灯後20秒以内にFEを押す。こ
  れで高圧系の印加が始まります。印加終了までに約5分かかります。印加を終了する
  とSETTING DATA表示にrdy(ready)と表示されます。
   ビームを出したらRecorderのChart Speedを60 mm/hにする。日付、名前を書く。
  ビームについて
      エミッション電流I1は最初30μAまで上がりますが( I1のcurrentは現在30μ
     Aに設定されています。この設定は変わるかもしれませんが、よく理解していない人
  は変えないでください。)、その後時間とともに減少していきます。I1が15〜20μA
  程度まで下がったらI1Cを押してI1を再び30μAまで上げると良いでしょう。
   ビームを出してからかなり時間が経つと、I1が徐々に上がり始めることがあります。
  この場合、I1が35μA以下なら許容範囲ですが、それ以上に上がったりあるいは急上
  昇し始めたときは、すぐにFEを押してビームを切ってください。
   ビームが出ている状態で、長時間装置から離れてはいけません。

◎軸あわせ
  ビームを出してからビームが安定するまでにしばらくかかります。
 (軸あわせはビームが安定してからの方が良いでしょう。)
 (1)まず絞りを全て抜く。
 (2) RESET押す。(このとき倍率2k、Obj. の電流値が5.40 Aになります。)
 (3)コンデンサレンズの3次の非点をとる。
   倍率上げてビームをしぼるとビームのカウスティック像が見えてくる。
   カウスティックが点対称になるように調整。(左下サブパネルの左下のつまみを使
  う。)
   倍率はMAGNIFICATIONつまみで変える。
   ビームのスポットサイズはBRIGHTNESSつまみで変える。(CoarseとFineの
  切り替えはCOARSEボタンを押せばよい)
   BRIGHTNESS CENTERINGつまみを使って、ビームが常に蛍光板の真ん中にく
  るようにもってくる。
   カウスティック像の見え方はコンデンサレンズの2次の非点によって違ってくる。
   3次の非点が丁度あわせやすいように2次の非点も調整すると良い。(2次の非点は
  右下サブパネルのCond.Stigmaつまみであわせる。)
   3次の非点をあわせるときは2次の非点はくるっていて良い。
 (4)C1 Aperture入れる。( 撮影したい倍率で行う。)
   通常No.1(穴径300μm)で使います。
   C2 Apertureは使いません。
  @  絞りを入れた時ビームが円形でないときは、収束レンズに2次の非点がありま
        す。
    円形になるように2次の非点をとります。
  A  ビームの大きさ変えたときにビームが蛍光板の中央を中心にして同心円状に広
     がらないときは絞りを移動して、ビームが同心円状に広がるようにします。
 (5)試料のZ controlでfocusを大体あわせる。
   Z controlつまみを動かすと像が逃げます。
   鏡筒両脇の黒い大きなつまみで試料をXY方向に動かすことが出来ます。像を蛍光
    板中央から逃がさずZ controlでfocusをあわせるには、右手でZ controlを、左手
      で鏡筒右下のつまみを動かしながら、あわせると良いでしょう。
   Z controlつまみは、下から見て時計回りに回すとunder focusに、反時計回りに
      回すとover focus側に行きます。
 (6)電圧中心をあわせる。(電圧の変化によるレンズの軸のずれをなくす。)
     電圧中心はBeam Tiltであわせますが、その前にBeam Tiltを変えてもビームが蛍
     光板の中心から逃げないようにBeam Tilt Wobblerを使って調整します。
    @ Beam Tiltのにげの補正
    ×50k程度でビームをある程度絞り、右パネルのWobbler Angleつまみを時計
     回りいっぱいに回してONを押します。すると、ビームの大きさを調節するとビ
      ームが ━┃ のように見えたりします。
    左パネルの上のBTX,BTX Verつまみを使ってビームが ╋ のように真ん中で
    クロスするようにします。これでX方向にBeam Tiltしてもビームが中央から逃
    げないようになりました。
    次にY方向を調節します。Wobbler Angleつまみを反時計回りの方向に3つ回
     します。この時にBTX,BTY Verつまみを使って先ほどと同じようにビームが真
      ん中でクロスするようにすれば、Y方向の設定は終わりです。
    Wobbler AngleのONをもう一度押すと、Beam Tilt Wobblerモードから抜け
    られます。
    A 電圧中心の調整
       ではいよいよ電圧中心をあわせます・まず×100k程度で何か目印になるような
       ものを小蛍光板中央の+印のところにもっていきます。
      コントロールラックのHVM(high voltage modulation)を押すと、加速電圧が
      modulateされます。このときに像が蛍光板の中央を中心にして収束・発散する
      ように(つまり一方向に流れないように)右下サブパネルのBeam Tiltつまみで
     調整します。
     再びHVMをおすとH.V.Modulationモードから抜けます。
    B 照射系の軸調整
      このときにビームの非点があればCond. Stigmaで非点をとります。再びHVM
      を押し、電圧中心が狂っていればBeam Tiltつまみであわせます。 以上の操作
      をくり返しながら最終的に×300kで電圧中心があい、かつビームの非点もない
      状態に追い込みます。
 (7)対物絞り(Obj. Aperture)をいれる
     撮影倍率でビームをひろげ、左パネルのDIFFボタンを押すとDiffractionモード
     に入ります。MAGNIFICATIONつまみでカメラ長を1.6 mにし、diffraction spot
     の大きさを調節し、回折像を出します。
    次に対物絞りを入れます。通常はNo.1の位置(3Å程度の分解能)まで入れます。
   対物絞りのかげが回折像の上に見えるはずです。回折像と対物絞りの中心が一致す
   るように対物絞りを移動させます。左パネルのZOOMを押すとDiffractionモードか
     ら抜けてZoomモードに戻ります。
  (8)焦点合わせと対物レンズの非点収差補正
   (5)のZ軸補正をあらためて行います。もし非点がある場合は写真をとりたい倍率よ
   りも高い倍率で非点をとります。
    対物レンズの非点はObj. Currentの値にも依存しています。デフォルトの電流値
  は5.40 Aで、このときに倍率が正しい値になるはずです。したがって非点をとると
  きはObj. Current 5.40 Aのところであわせます。(写真を撮るときも5.40 Aのと
  ころで撮ります。)
  対物の非点は左サブパネルのObj. Stigmaつまみであわせます。膜穴のふちのフリ
  ンジやアモルファスで薄い支持膜のgranularity(いわゆる点ポチ構造)を利用して
  非点をとります。
    最初は低倍率で膜穴のフリンジであわせるのが最もやりやすいでしょう。焦点を
  just focusからずらすと膜穴のふちにフリンジが見えます(大体のfocusはZ control
  で調節しますが、微調整は右パネルの Focusつまみで行います)。
  膜穴のふちとフリンジの間隔の二乗は、焦点距離の just focusからのはずれ量 
  (defocus)に比例しています。したがって穴の周囲のふちとフリンジの間隔を見れば
  焦点の一様性、すなわち非点収差の有無が判断できることになります。膜穴周囲の
  フリンジ幅が均一になれば非点がとれたことになります。
  低倍で見て非点がないように見えても高倍率で見ると非点がとりきれていないのが
  わかることがよくあります。最初低倍で非点をとったら次により高倍で非点をとり
    、さらに高倍で非点をとる・・・・・・というようにすると良いでしょう。
    アモルファスな支持膜の像は just focusで最もコントラストが低く、just focus
  から焦点をずらすと点ポチ構造がみえてきます( just focusを堺にして白黒反転し
  ます)。非点があると点ポチ構造が一方向に流れて見えます。流れがなく最も像が
  鮮明に見えるようになれば非点がとれたことになります。
    高倍であわせる場合は焦点あわせにしても非点収差補正にしても、支持膜の点ポ
  チ構造を利用するのが最も正確であるように思われます。
   また、焦点を合わせると、非点もはっつきりと認識できる様なり、非点をとると、
  焦点合わせもより精密に行うことができますので、焦点合わせと非点補正を繰り返
  してください。

◎写真撮影
   視野探し
    ↓
   焦点合わせ・非点補正
    ↓
   defocus, 照射条件、露出時間など撮影条件をset 
        ↓
   Photoボタンを押すと写真が撮れる  

FullモードとHalfモードがあります。これはカメラ室化粧ふたをあけて切り替え
つまみで切り替えます(このつまみは途中で止めないで左右どちらかいっぱいに回してください)。
良い写真を撮りたいときは除湿機、エアコンをOFFにし、Columnの真空ゲージ
もOFFにし、パネルランプをOFFにすると良いでしょう。
Filmとしては普通はFGを使います。FGの場合は、露出時間を決めるときに、
Digital Picoammeterの表示と露出時間をかけて900pC程度になるようにすると良
いでしょう。(ODが1)

◎観察終了後
 (1)まずビームを切る
FEボタンを押すとビームがきれます。
V2が徐々に下がってきて0.5kV以下になったらGVを閉じます。
 (2)純N2Bのボンベをあける。
 (3)ホルダーを引き抜く。
 (4)Pumping Stationにホルダーをしまう。
 (5)チャートスピードを15 mm/hに戻す。
 (6)前のACDをはずす。 
中の液体N2を捨てて、ひっくり返して床の上に置いてください。

◎Film交換、写真現像
真空の中に入るものを触るときは必ず手袋を着用し、きれいなアルミホイルの上以外
の不潔なところには置かないでください。
 (1)諸準備
  ・ガスバーストの準備 暗室内のN2ボンベを開ける。
  ・現像液・定着液の温度チェック。
  ・湿度が低いときは、モップを使って暗室の床を水でぬらす。
  ・暗室の暗室灯をつける。部屋の電気を消す。カーテンを閉める。
  ・新しくつめるfilm、空の受けマガジンの準備。
  ・純N2Bのボンベ(前室)を開ける。
  ・撮影後のフィルムをいれる持ち運びBOX(カメラケースを使用)を検鏡室に用意しておく。
 (2)次の人が使う filmが入った送りマガジンを予備排気室から出す。
   カメラ室に入れるfilmはあらかじめ十分に予備排気されている必要があります。
 (3)Film交換
   検鏡室の赤外線ランプをつける。
          ↓
   部屋の電気を消す。パネルの照明もOFFにする。
          ↓
   カメラ室化粧ふたを開け、CAMERA EVACスイッチのAIRを押す。(予備フィルム室にN2を充填)
          ↓
   カメラ室前ふたを開ける。
          ↓
   受けマガジンを取り出す。→ 持ち運びBOXへ
          ↓
   送りマガジンを取り出す。→ 持ち運びBOXへ
          ↓
   新しい送りマガジンを入れる。(上の黒いフタをはずす)
          ↓
   空の受けマガジンを入れる。
          ↓
   カメラ室前ふたをしめる。
          ↓
   カメラ室前ふたをしっかり押さえながらCAMERA EVACスイッチのEVACを押す。
          ↓
   持ち運びBOXのフタが閉まっていることを確認したら、電気をつけてもよい。
          
 (4)現像
   暗室の電気が消えていること、カーテンが閉まっていることを確認。

     現像(コピナール)4 (ガスバースト)
       ↓
     水洗 1分
       ↓
     定着 10分
       ↓
     水洗 1分
       ↓
     Quick Wash  3分
       ↓
     水洗 5分以上
       ↓
     Dry Well 30秒
       ↓
     乾燥(通常はFANだけつけてover night放置します。急ぐときはheaterを400W
       だけつけます。この場合約2時間でかわきます。)
   フィルムが足りなそうなときは冷蔵庫から出しておく。
   現像しながら送りマガジンに新しいフィルムをつめます。(白っぽい方が上)
   フィルム装着後、最後に遮光板を忘れずに入れ、黒いふたをはめます。
   日付と名前を書いたテープを貼る。
 (5)新しいフィルムをつめた送りマガジンを予備排気室に入れて排気。
   純N2Bのボンベを閉める。
 (6)現像が終わる頃にはSV,CVが開いているはずです。
   CRT上のUNEXPOSED FILMの表示を変更すると遮光板が送られます。
 (7)ログノートに記入
 (8)帰る前に壁に貼ってあるチェックリストを一通りチェック。

◎諸注意
 ・前室・検鏡室・暗室内では飲食厳禁。
 ・清潔・整理整頓。
 ・触ってはいけないところには絶対に手を触れないでください。
 ・液体N2のデュワーが空になったらすぐにくみに行ってください。
 ・コピナールがだめになってきたら自分で新しく作ってください。
 ・装置の異常に気が付いたら、すぐに管理者に知らせること。
 ・フィルム、フィルムカセット、ホルダーなど物の扱いは丁寧にすること。
 ・ニードルバルブはしめすぎないこと。(軽くしめれば十分です。)
 ・検鏡室のドアは開けたらすぐ閉めること。(湿度を低く保つため)
 ・前のACDに液体N2をつぎ足すときは観察室の窓にふたをし、双眼鏡にカバーをかけ
  ること。

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