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Smadタンパク質間相互作用の発光ライブイメージング


生体内におけるタンパク質間の相互作用は多くの生命現象を担っています.これまでの生化学的手法では特定時間におけるタンパク質間相互作用の記述しかできず,生体内で起こるタンパク質間相互作用の時間変化を追跡することは困難でした.近年では,GFPなどの蛍光タンパク質を利用した方法が開発されていますが,自家蛍光が強く透明度の低い動物個体を用いた場合,自家蛍光や光が個体深部まで届かないなどの問題により,タンパク質間相互用検出に十分なシグナルが得られないという欠点がありました.

本研究では,発光タンパク質ルシフェラーゼによる生物発光をもとに,タンパク質間相互作用の可視化プローブ分子を作製し,この問題を克服しました.また,緑,橙,赤色のルシフェラーゼを利用することにより,複数種類のタンパク質間相互作用のリアルタイムイメージングが可能となりました.本方法により,自家蛍光が強く不透明な動物個体内のタンパク質間相互作用の高感度検出が実現しました.

はじめに,コメツキムシ由来の赤色ルシフェラーゼ(CBR,発光波長605 nm)の全長を二つに切断し,発光能を無くしました.CBRのC末断片に3つのアミノ酸変異を加えることにより,CBRのN末断片のみならず,エメラルドルシフェラーゼ(ELuc,535 nm),ホタルルシフェラーゼ(FLuc,555 nm)のN末端側断片(ELucN,FLucN)と効率よく発光能を示し,更にその発光強度は,切断タンパク質そのものよりもエメラルドルシフェラーゼで40倍,ホタルルシフェラーゼで13倍改善されました.このCBRのC末断片に3つのアミノ酸変異が入ったタンパク質をMcLuc1と名付けました.McLuc1の機能は,複数の異なる組み合わせのタンパク質間相互作用の同時検出に利用できるだけでなく,1つのタンパク質が複数のタンパク質と巧みに相互作用している場合の個々のタンパク質関相互作用検出にも応用することができます.

動物個体内で骨形成因子が働くと,Smad1はSmad4と相互作用し必要な遺伝子群を転写します.一方,Smad2 は,アクチビンなどの働きによりSmad4と相互作用し,その生理機能を発動することが知られております.この二つの独立したシグナルを,アフリカツメガエル初期胚において異なる波長の光として同時に検出することを試みました.Smad1にCBRのN末断片を,Smad2にELucのN末断片を,そしてSmad4にMcLuc1を遺伝子工学的に連結し,アフリカツメガエル胚に導入しました.発生過程に伴う,骨形成因子,アクチビン特異的な発光シグナルを,長時間(St.10〜St.28,約20時間)リアルタイムイメージングすることができました.

ステージ23においてSmad1−Smad4相互作用は頭部のセメント腺周辺で強く起こっており,Smad2−Smad4相互作用は背側で起こっていることが観察結果からわかります.

本研究の成果により,複数のタンパク質間相互作用が,これまで困難だった自家蛍光が強く不透明な動物個体内において生きたままの状態でリアルタイムに検出できるようになりました.また,この方法は,動物個体内で機能するタンパク質の生理的な役割の理解を深める有効な方法として確立すると期待されます.

PLoS One, 4, e5868 (2009).

caspase probe