mRNA可視化プローブの開発

(関連する研究:β-actin mRNAの生細胞内1分子蛍光イメージング

RNAの塩基配列特異的にmRNAを認識検出する蛍光タンパク質プローブを分子設計し,生きた細胞内mRNAのイメージング法を開発しました. 標的とするRNAは,ミトコンドリアゲノムから合成されるNADH dehydrogenase subunit 6 (ND6)mRNAとしました.RNA結合タンパク質Pumilio(wtPUM)の核酸認識アミノ酸にmutationを加え,NADH dehydrogenase subunit 6のmRNAを特異的に認識するmutant PUM(mPUM1, mPUM2)を作製しました. このmPUM1とmPUM2それぞれに,splitしたEGFPを連結しました.mRNAの発現に伴いmRNA-mPUM1-mPUM2三元錯体が形成されます. この時splitしたEGFPが近接して,EGFPタンパク質が折り畳まれ,その結果EGFPの蛍光が回復します.EGFPの蛍光シグナルからmRNAの局在を蛍光顕微鏡により解析しました.

プローブをミトコンドリアにターゲットさせ,ミトコンドリアゲノムをDAPIで,ミトコンドリアをMitoTrackerで染色した後,RNAの局在を蛍光顕微鏡を用いて観察しました.RNAはミトコンドリアに一様に局在しますが,ミトコンドリアゲノム近傍に多く局在することを明らかにしました.次にphotobleaching法を用いて,ミトコンドリア内におけるmRNAの動態観察を行いました.EGFPをbleaching後30分間の蛍光観察を行うと,EGFPはミトコンドリア内で殆ど移動しないことが解りました.これはミトコンドリアmRNAが自由には拡散移動できず,ミトコンドリア内で固定化された状態であることを示しています.現在,様々なmRNAをターゲットとして,その細胞内局在の時空間変化を解析しています.

1.
T. Ozawa, Y. Natori, M. Sato, Y. Umezawa, Imaging dynamics of endogenous mitochondrial RNA in single living cells. Nat Methods. 4, 413–419 (2007).
DOI:10.1038/nmeth1030

RNA probe